2002年12月3日(火)「しんぶん赤旗」
島根県の澄田信義知事は二日開会された十二月県議会の冒頭、延期になっていた宍道湖(しんじこ)・中海の淡水化について「中止することが適当である」と提案しました。これを受け農水省が中止を決めれば、宍道湖・中海干拓淡水化事業(国営中海土地改良事業)は完全に終止符が打たれます。
提案説明で澄田知事は、淡水化にかわる農業用水確保対策の基本的な考え方に関係市町から了承が得られたこと、また、要請の強かった地元負担軽減や農業用水確保対策に農水省から負担軽減策が示されたとし、「宍道湖・中海の淡水化は中止することが適当であると判断した」とのべました。
県議会には宍道湖漁協の人たちなど二十人が詰めかけました。
傍聴していた漁師の男性(54)=松江市=は「待ちに待った発言。長年の思いがかなった。今後は潮通しをよくすることが課題。原因は不明だが堤防設置後、コノシロの大量死が毎年発生している。一日も早い開削を」と語りました。
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豊かな汽水(きすい)域を後世に活かす市民会議(代表・保母武彦島根大教授)は同日、記者会見し、「四十年に及ぶ中海土地改良事業の歴史は、全国の公共事業の改善・改革にも活(い)かされる必要がある」との声明を発表しました。
汽水域 真水と海水が入り混じった水域。フナなど淡水魚のほか、ヤマトシジミやスズキ、シラウオなどの魚介類が生息し、マガン、ホシハジロ、など渡り鳥の越冬地になっています。