2002年12月1日(日)「しんぶん赤旗」
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自民党の清水達雄参院議員のために一億円の党費立て替えをした不動産業界の政治団体、全国不動産政治連盟(全政連)が、清水議員はじめ自民党、公明党、民主党、自由党の政治家七十五人(落選中含む)に、一九九九年から三年間で総額約一億七千万円をばらまいていたことが、本紙の調べで明らかになりました。
本紙調べ 全政連は、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の政治団体。全政連の政治資金収支報告書によると、収入は傘下の都道府県不動産政治連盟からの寄付として毎年約三億三千万円〜四億円が記載されています。
支出では、都道府県の宅地建物取引業協会と一体の自民党宅建支部に大半を“還流”させているほか、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に三年間で六千六百万円を献金しています。橋本派三百七十万円、堀内派二百八十万円、森派百八十六万円など自民党の各派閥にも。
政治家では、パーティー会費や資金管理団体などへの寄付金として支出。旧建設省で不動産業課長などを歴任し、現在、自民党の宅地建物等対策議員連盟(宅建議連)事務局長を務める清水議員に計三千百五十万円を寄付しているのをはじめ、宅建議連の村岡兼造会長(元自民党建設部会長)に九百五十万円、古賀誠前幹事長に八百万円、金子一義宅建議連副会長に五百六十万円など、自民党の政治家七十二人に寄付しています。(表参照)
閣僚では、石原伸晃行革・規制緩和担当相五百四十万円、鴻池祥肇防災担当相百十万円、片山虎之助総務相十六万円。根本匠内閣府副大臣(五百四十万円)はじめ、横内正明(二百三十万円)、竹本直一(百五十万円)の両衆院議員ら建設省ОBの名前も目立ちます。公明党では、井上義久幹事長代理が二十万円を受け取っています。
不動産業者のほとんど全部が全宅連に加入していますが、その会員がほぼ強制的に全政連に加入させられています。思想・信条にかかわらず、自民党の党費を肩代わりさせられたり、自民党などの政治家の金集めパーティー券に化けているわけで、全宅連の会員のなかでも批判が強まっています。
全政連からの寄付額上位の政治家 | (99年〜01年分、単位万円) |
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清水 達雄参院議員 | 3150 |
村岡 兼造元運輸相 | 950 |
古賀 誠前幹事長 | 800 |
金子 一義衆院議員 | 560 |
石原 伸晃行革担当相 | 540 |
根本 匠内閣府副大臣 | 540 |
森 喜朗前首相 | 450 |
佐田玄一郎衆院議員 | 450 |
栗原 博久衆院議員 | 440 |
加藤 紘一元幹事長 | 430 |
青木 幹雄参院幹事長 | 400 |
保岡 興治前法相 | 370 |
坂野 重信元自治相 | 340 |
横内 正明衆院議員 | 230 |
綿貫 民輔衆院議長 | 220 |
《注》いずれも自民党。綿貫議長は現在無所属、加藤氏は離党 |
小泉純一郎首相が支部長を務める自民党神奈川県第十一選挙区支部の政治資金収支報告書によると、昨年、全政連の下部組織、神奈川県不動産政治連盟から百万円の献金を受けとっています。
不動産業者らでつくる各都道府県の社団法人宅地建物取引業協会(宅建業協会)と自民党宅建支部の事務所が四十五道府県で同一の所在地におかれ、三十七道県では宅建業協会会長が党宅建支部の支部長を兼ねていることが三十日までにわかりました。
本紙が入手した自民党宅建支部の一覧表によると、自民党宅建支部の所在地は福島県と東京都を除いて各道府県の宅建業協会と同一。また、宅建業協会会長は滋賀を除く四十六都道府県で政治連盟の会長を兼ねていますが、山形、福島、福井、滋賀、京都、大阪、奈良、香川、鹿児島、沖縄の十府県を除く三十七都道県では自民党宅建支部の支部長も兼任しています。
宅建業界をめぐっては、関連政治団体である不動産政治連盟との一体性が問題になっていますが、自民党宅建支部とも一心同体であることが浮かび上がってきました。