2002年12月1日(日)「しんぶん赤旗」
韓国大統領選挙(十二月十九日)で、高まる「反米感情」が有権者の投票行動に影響を与えそうです。女子中学生が在韓米軍の装甲車の下敷きになりれき殺された事件で、米軍の軍事法廷が最近、米兵二人に無罪評決を言い渡したことにより、韓国人の対米感情が急速に悪化していることが背景にあります。
首都ソウルなどで連日のように続く抗議集会は、二十―三十歳代の若者が目立ちます。裁判のやり直しを求める街中の署名運動に応じるのも、若者が圧倒的です。
当選を争う与党・新千年民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補と野党ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)候補のうち、世論調査で若者の支持は盧氏に集中。反米世論の高まりは盧氏に有利と見られます。
両候補とも、在韓米軍地位協定を改定し、刑事裁判権を韓国の司法下に移す、という公約は共通ですが、対米関係での姿勢は違いが際立ちます。
盧氏が平等な米韓関係を力説し、「これまで韓国の指導者は、米国に対し堅持すべき姿勢を貫けなかった」と、“対米自立”を強調。
李氏は、米韓軍事同盟を「米韓関係の根幹」と指摘し、最近の世論について「反米主義に流れてはならない」と懸念を示します。
ブッシュ米大統領は二十七日、れき殺された女子中学生の遺族たちに「謝罪」を表明しましたが、無罪評決を受けた米兵が同日、裁判のやり直しを求める韓国国民を尻目に出国。かえって遺族や国民の不信を買う結果になりました。