2002年11月30日(土)「しんぶん赤旗」
島根県の澄田信義知事は二十九日の記者会見で、凍結中の宍道湖・中海淡水化事業について「中止が適当である旨を、(十二月二日の)議会冒頭で正式表明する」と述べ、事業主体の農林水産省に対し、事業中止を要請する意向を明らかにしました。もう一方の受益県である鳥取県も中止を判断する見通しで、淡水化事業の中止が事実上確定します。
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これまでに投じた費用は干拓事業も含め約八百五十一億円で、過去に中止された公共事業の中で最大。中海干拓・淡水化事業がスタートした一九六三年、日本共産党はいち早く無謀な計画の中止を要求。住民や大学の研究者とともに反対運動に取り組んできました。
日本有数の汽水域として知られる宍道湖と中海を淡水化し、周辺農家に供給する同事業は、一九六三年四月の事業着手からほぼ四十年を経て、未完のまま終止符が打たれます。
淡水化は、当時のコメ増産政策を背景に、中海干拓とセットで計画されました。海水をせき止める水門や堤防など関連施設の建設はすべて終えましたが、水質悪化への懸念から八八年以降は凍結されました。
二〇〇〇年には、公共事業見直しに関する与党方針を受け、淡水化により最大の受益地となるはずだった中海・本庄工区の干拓中止も決まりました。このため、県は淡水化中止を前提に、ため池の設置など代替水源を確保する準備を進めていました。
日本共産党の中林よし子衆院議員の話 ムダ遣いの典型「中海干拓淡水化事業」がきっぱり中止になったことは一貫して中止を求めてきた日本共産党と住民運動の成果です。本来、淡水化の延期が打ち出された十四年前、さらに本庄工区が凍結された二年前に中止しておけばその後かかった費用も少なかったはずです。今後の課題として県民負担の軽減と堤防の開削など事業前の環境に戻すこと、そして漁業振興のために力を入れることなどに向かって頑張ります。