2002年11月29日(金)「しんぶん赤旗」
阪神高速道路公団(大阪市中央区)発注の遮音壁工事をめぐる偽計入札妨害事件の背景に、「解同」(部落解放同盟)系企業グループが公団と癒着し、工事受注で特権的な位置を占めてきた経過があることがわかりました。
これまで大阪府警に逮捕されたのは、公団側が元神戸建設局長・前川順道(59)、大阪管理部次長・近藤康男(55)、京都建設部長・加藤幹夫(56)の三容疑者、業者側では国誉建設株式会社(大阪府堺市)会長・山本正雄(62)、同社長・大倉盛治(71)容疑者ら四容疑者です。
このうち、山本正雄容疑者は、国誉建設会長で事実上のオーナー。同容疑者の実弟である山本武司氏(60)も国誉建設設立時から取締役に就任、途中で役員は辞職しているものの正雄容疑者とともに国誉建設グループのさい配をふるってきました。
この武司氏は、元「解同」(部落解放同盟)中央執行委員長の上田卓三元衆院議員が会長を務める中企連=大阪府中小企業連合会=の近畿本部企業対策室次長をつとめていました。
中企連は九六年に「ティグレ」と名称を変えましたが、名称変更後の現在も、同社ホームページによると、武司氏が「ティグレ」の理事と堺本部長、上田卓三東京事務所長をつとめています。上田元議員は九八年に「解同」中央本部顧問に就任しています。
国誉建設には、山本容疑者の親族が役員として名を連ねる京大建設と近畿昭建株式会社というグループ会社があります。国誉建設、京大建設、近畿昭建のグループ三社には、同公団から、三人のOBがそれぞれ天下りしていました。逮捕された国誉建設の大倉社長も同公団OBで、日本道路公団に在職した経歴ももっています。
国誉グループは、遮音壁工事を中心に毎年約二十億円にのぼる公団事業を受注。この実績を事実上“特権”にして、固定化し、同レベルの他社にくらべても突出した受注をしてきました。
元「解同」委員長と直結した「解同」系企業グループが、公団と癒着して特別な地位をつくり上げたのが今回の事件の大きな特徴です。
阪神高速道路公団不正入札事件
阪神高速道路公団が発注している遮音壁工事などの入札をめぐり、同公団の幹部が特定の業者が有利になるように業者指名で便宜をはかったうえ、入札情報を漏らしていたもの。同じ工事を受注する資格を持つ企業は約五百八十社あるにもかかわらず、受注は特定の十五社が九割を占め、なかでも国誉建設グループが毎年契約総額で、一、二位を占めていました。同グループの落札率も平均98%と高値落札しています。