2002年11月27日(水)「しんぶん赤旗」
二十五日の三重県議会で表明された北川正恭知事(58)の三選不出馬表明について、唯一の野党の日本共産党県議団は「北川県政のゆきづまりを端的に証明したもの」という声明を発表しました。マスメディアの多くが同知事を「地方行革の旗手」「改革派知事」と持ち上げていたのと対照的な評価でした。
北川氏は旧新進党の衆院議員から一九九五年、自民党推薦候補を破って三重県知事に初当選しましたが、二期目は自民党も推薦。政策的には「改革」どころか、自民党そのものです。
北川氏が、長良川河口堰(ぜき)からの導水事業や木曽岬干拓事業など大型公共事業を優先してきた結果、県の借金残高はこの七年で四千八百億円から八千八百億円と倍増しています。「県政のゆきづまり」を象徴する数字です。
一方で北川氏は、唯一の県立特養ホームを民間に売り払い、生活保護世帯への見舞金を切り捨てるなど、福祉や医療への行政責任を次々放棄してきました。
北川氏の進める「事務事業評価システム」による県事業の見直しは、QCサークルなど企業の「合理化」で実績をあげた日本能率協会に委託し取り入れた手法です。
地元紙にも「知事のいう『生活者起点』の生活者とは大企業のことだったのか」と皮肉られるほど。北川氏の大企業よりの姿勢は鮮明。シャープの誘致に九十億円の補助などはその典型です。
政治姿勢の点でも、オレンジ共済の友部達夫被告や、公共事業口利きの「業際都市開発研究所」とのかかわりなど、黒い疑惑が次々取りざたされてきました。
芦浜原発計画白紙撤回を北川氏の成果とする見方がありますが、中部電力に計画を断念させたのは県民の粘り強い反対運動の力。北川氏は風向きを読む能力にすぐれているにすぎません。
安全性が立証されておらず住民が強く反対する廃棄物処理用のガス化溶融炉や、RDF(ごみ固形燃料)焼却発電所の建設を強行するなど、北川氏の掲げる「環境先進県」は名ばかりです。
県内では、日本共産党だけでなく他会派の県議や県職員、多くの市町村長からも「改革のための改革」「パフォーマンスばかり」などと北川氏への批判が続出していたことが、北川県政の実態をあらわしています。(総)