2002年11月23日(土)「しんぶん赤旗」
トンネル工事に従事していた元建設労働者の四十六人は二十二日、じん肺になったのは、工事を発注した国がじん肺防止の安全配慮義務に違反したためだとして、国の責任を追及する国家賠償訴訟を東京地裁に起こしました。トンネルじん肺で国を被告とする訴訟は初めてです。
これまでトンネルじん肺被害者は「あやまれ、つぐなえ、なくせじん肺」をスローガンに、一九九七年五月に第一陣訴訟を提訴。いらい三陣にわたって二十三地裁・支部で千四百七十七人が提訴しています。昨年二月の東京地裁での和解をきっかけに、加害企業が責任を認め、謝罪する内容で原告との和解がすすんでいます。原告団、弁護団は来年七月末までの全面解決をめざしています。
今回の裁判は、訴状によると、その目的について、国の安全配慮義務違反など加害責任を明らかにし、トンネルじん肺根絶とともに、裁判によらないじん肺被害者の救済システムを確立させることをかかげています。安全配慮義務違反について、(1)発注条件にじん肺防止対策を確保しなかったなど発注段階での違反(2)じん肺防止対策計画審査義務や防止対策実施の監督義務への違反などを指摘しています。また、労働基準法や労働安全衛生法、旧じん肺法などにもとづく施工業者への規制・監督権限をじん肺防止に行使しなかった責任も問うています。
弁護団は二年以内の結審をめざしています。