2002年11月22日(金)「しんぶん赤旗」
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「どこまで母子家庭を苦しめるのですか」。二十一日の参院厚生労働委員会。傍聴につめかけた人々が見守るなか、母子家庭の“命綱”である児童扶養手当を大幅に削減する母子寡婦福祉法等改悪案が、自民、公明、民主各党の賛成多数で可決されました。日本共産党、国会改革連絡会(自由党、無所属の会)、社民党は反対しました。
改悪案は、子どもが十八歳になる年の年度末まで支給されている現行の児童扶養手当を、支給開始から五年以降は最大で半分まで減額するというのがおもな内容です。
この日午前に行われた参考人質疑では、「手当を受けて五年以降は、教育費など子育てに大変お金がかかる時期になる。削減は、母子家庭の生活支援に逆行する」(須藤八千代・愛知県立大学助教授)など、六人の参考人のうち四人が改悪案の内容を批判。母子家庭の母親たちが厳しい暮らしの様子を涙まじりに訴えると、委員会室はしんと静まりかえりました。
ところが、与党は「みなさんの気持ちはよくわかるつもりです」(公明・沢たまき氏)といいながら、その直後に開かれた理事懇談会で採決を提案。民主党も「本来、参考人質疑の日に採決はすべきでない」としつつ同意しました。同法案の委員会審議はたったの二日間。まともな審議を放棄しての採決は、母子家庭の切実な願いに背を向けるものです。日本共産党の小池晃議員は反対討論で「生活が困難な母子家庭をさらに追いつめ、子どもの教育を受ける権利まで阻害するものだ」と批判しました。
小学四年生の子をもつ母子家庭の竹内みわさん(54)は「有給休暇をとって二日間傍聴に通いました。木枯らしのような母子家庭への冷たい仕打ちに信じられない思いでいっぱい。くやしい」と話していました。