日本共産党

2002年11月17日(日)「しんぶん赤旗」

列島だより

小泉不況 業者の声まとめ実現へ共同広げ

中小企業支援へ 議会、自治体で運動

 小泉内閣の「不良債権」処理加速で中小企業の苦境はさらに深刻になっています。そんななかで「地域の中小企業の振興、街の活性化を願う業者団体や自治体」は“負けてなるもんか”と頑張っています。業者、自治体、議会でどのようなとりくみをしているのか、その姿を紹介します。


市長が要請県策定委に参加

民商活躍期待高まる

新潟・燕

 地場産業と金属加工技術が集積する街・新潟県燕市。長びく不況のなかで業者や行政、議会は中小企業の苦境打開へ懸命です。

 燕市は金属洋食器と金属ハウスウエア(食卓台所用品)の生産を誇り、市予算一般会計百四十七億円(二〇〇〇年度)のうち商工費は12・1%を占める重要な役割を担っています。

 近年、中国から競合する低価格商品の輸入が激増し、製造業者と下請け業者の仕事が奪われています。産地全体の製造品出荷額は一九九七年に二千億円あったものが、〇一年には千五百八十億円に落ち込みました。

 このような厳しい環境のなかで、ステンレス加工技術を生かした家庭用の雑貨製品や介護・障害者の福祉用品など幅広い製品への転換。チタンやマグネシウムを素材にした新製品の開発に力を入れています。

 日本共産党燕市議員団(二人)は燕民主商工会と協力・共同して市にたいして、地場産業を守り発展させるために積極的な提案を行ってきました。

下請け業者の実態を調査

 その一つが下請け業者の実態調査。事業所の業種、資金繰りなど製造業の調査で市、商工会議所とともに民主商工会が参加しました。

 燕市小規模事業所活性化検討委員会には委員十人のうち燕民商の役員五人が選任されています。

 また、昨年新潟県が地場産業振興のアクションプランを策定するために燕市、三条市、五泉市、見附市を指定。燕市の策定委員会に早渡(はやと)伊一燕民商事務局長が、市長の要請で参加しています。

 早渡氏と燕民商は会員業者の交流会をたびたび開いて要望をまとめ、「仕事おこし」八項目の重点事業を提言しました。全業者の掌握、コーディネート体制の充実、休業・傷病手当金制度の創設など八項目はアクションプランに盛り込まれ、プランづくりに貢献しました。

 高橋甚一市長は「県のアクションプラン策定委員会に民商が入ったことで画期的な委員会になった」と語っています。

 アクションプランは〇二年度県予算で、マグネシウムプロジェクト支援策として五千九百万円が計上されました。マグネシウムの新製品開発は、千人以上の雇用を生み出す新分野の産業です。

超党派で行動政府に要求

 燕市議会では地場産業振興のためには超党派で動く特徴があります。ステンレス鋼材を日本の大メーカーが、燕産地より安く中国に輸出している問題では、市議会議長を先頭に全会派が、二重価格の是正を求め、政府を動かしています。

 日本共産党燕市議員団は、「燕市中小企業振興条例」制定を議会発議でおこなうよう、九月議会で他会派によびかけました。「どういう発展方向を見いだせるか、調査研究をしてから」という意見もあって、保留になっていますが、十二月議会に向けて、全会一致で発議できるよう全力をあげています。

(本多了一市議)


党県議団が積極提案

県の緊急対策引き出す

兵庫

 不況と大震災の影響で兵庫県の中小企業は深刻な事態にあります。日本共産党兵庫県議団(十五人)が提案した「中小企業・地域経済振興基本条例」案は都道府県段階では全国初とあって注目を集めました。条例案は大きな反響をよび、県の施策に変化をおこしています。

 兵庫県は、全国有数の工業県のなかにあって、中小企業は企業数の99%を占め、販売額の八割、雇用の八割を担う地域経済の中心となっています。県下の中小企業が、十年間に事業所が二万七千の減、従業者は三万五千人も減りました。

3年余かけて条例案を提案

 議員団は、中小企業に抜本的支援を行い地域経済を打開しようと、団内部に産業雇用対策委員会をつくり「中小企業・地域経済振興基本条例」案の検討を始めました。この間に中小企業団体との懇談、全国のすぐれた先進地域の調査、中小企業専門の経済学者との研究など議員団で三年余にわたって数十回に及ぶ検討を重ねてきました。七月には条例第一次案をつくり、千八百を超える中小企業団体等に送付、主だった商工団体との意見交換をおこない九月県議会に議員提案しました。

 条例提案は、「新しい政策条例が県議会に議員提案されるのは二十九年ぶり」(読売新聞)など各紙が報道。専門の学者も「構造不況」からの脱却に時宜をえた提案で実現を期待したいと評価しています。

 県当局は、議員団の条例提出の動きをみて、九月県議会の直前に知事が「緊急経済雇用対策」を発表。主な対策は、県単独の土木事業五十六億五千万円執行保留分を解除し事業を進めることや、商店街集客の支援、高卒者の雇用対策など三億円を超える県の予備費をつかい補正予算を組みました。

 議員団の条例提案は、県当局の緊急経済対策を引きだし、他党派も中小企業対策を質問でとりあげました。条例制定に至らなかったものの商工関係者からは「どの党も条例案の中身に反論できなかった。実現への大きな展望を感じた」と話が出るなど、中小企業振興策は県の重要課題であることを浮き彫りにしました。

提案権得た議席を力に

 一九九九年のいっせい地方選挙で倍増の十四人になった党兵庫県議団は、県議会第二党に躍進し議案提案権を獲得しました。その後の補選勝利で十五人(議席占有率16・3%)となりました。自民党に次ぐ第二会派のひょうご県民連合十五人(民主、社民党など合同会派)と同数になり、議会運営委員会の副委員長ポストなど議会での役割が一段と増しました。この三年間には県議会史上初めての予算組み替え提案など具体的、建設的提案を積極的に行っています。

 (小田桐功・党兵庫県議団事務局長)

 


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