2002年11月9日(土)「しんぶん赤旗」
厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の安全衛生分科会じん肺部会は八日、じん肺から肺がんを併発した人すべてを労災補償の対象とするための、じん肺法施行規則と労働安全衛生規則の改正を認める答申をしました。
現行基準では、じん肺から肺がんを併発したケースは、医学的な因果関係を認めず、比較的じん肺の症状が重かった人だけが「エックス線診断を受けても、じん肺のための陰影でがんが発見できない不利益がある」などとして、労災認定されていました。
しかし、厚労省の専門家検討会は今年八月、じん肺から肺がんを併発する可能性は否定できないとして、初めて医学的な因果関係を認める見解をまとめました。答申はこの見解に沿ったもので、じん肺と診断された人が肺がんになった場合は、他の部位からがんが転移したケースを除き、すべて労災補償の対象となります。また、過去に粉じん作業経験があり、比較的軽いじん肺と診断された労働者については、定期健康診断以外に肺がんに関する検査を行うことを事業者に義務付けます。このほか、じん肺とされた離職者らに国が発行する健康管理手帳を交付します。施行は来年四月一日。