2002年11月9日(土)「しんぶん赤旗」
母子家庭の生活を支える児童扶養手当の削減などをおもな内容とする母子寡婦福祉法等改悪案が八日、衆院厚生労働委員会で採決され、自民、民主、公明、保守各党の賛成多数で可決されました。日本共産党、自由党、社民党は反対しました。
同法案は六日に審議入りしたばかりで、委員会での審議時間はわずか九時間。参考人質疑を含めても十一時間あまりです。まともな審議を放棄しての採決は「何としても手当を存続してほしい」という母親たちの願いをふみつけにするものです。今後は十二日の衆院本会議での採決、参院送付をねらっています。
法案は、子どもが十八歳になる年の年度末まで支給されている児童扶養手当を、受給開始から五年以降は最大半分に減額するというもの。父親からの養育費も新たに母親の所得として計算し、受給金額を削減します。さらに、母親に「自立」を求め、求職活動に熱心でないとみなせば手当の支給が停止・削減できます。
日本共産党の山口富男議員が反対討論に立ち、「支給の削減は、男女賃金格差や劣悪なパート労働など、厳しい諸条件のなかで、必死に生きようとしている母子家庭の現実をかえりみない、無慈悲な仕打ちだ」と批判しました。
採決に先立つ質疑で日本共産党の小沢和秋議員は、父親に養育費を支払わせる努力義務を母子家庭の親に求めていることについて、「父親が養育費を支払わないのは母親の努力不足だとして、児童扶養手当の支給を停止する理由とすることがあるのか」と追及。厚生労働省の岩田喜美枝雇用均等・児童家庭局長は、「(そういう場合に)手当を停止するということは考えていない」とのべました。