2002年11月3日(日)「しんぶん赤旗」
【ニューデリー2日小玉純一】当地で開催された気候変動枠組み条約第八回締約国会議(COP8)は一日夜、地球温暖化防止の今後の指針を定める政治宣言「デリー宣言―気候変動と持続可能な開発」をまとめ、全体会合で採択、十日間の日程を終えました。
先進国と発展途上国は、温室効果ガス排出削減の取り組みに途上国が参加する点を宣言に盛り込む問題で対立していましたが、排出削減の重要性を確認し削減の情報を交流することで合意しました。
日本政府代表団はこの点で「将来の途上国参加の道筋につなげたい」と述べました。ただし日本などが要求した、将来の削減の枠組みへの途上国参加は宣言に入りませんでした。
宣言は、行動計画の冒頭で京都議定書の批准をよびかけました。
宣言はまた、案段階で言及がなかった再生可能エネルギーの普及を強調しました。そして引き続き、気候変動の悪影響に適応する問題で、途上国のニーズを重視しています。
ハンター枠組み条約事務局長は会議後「気候に優しい経済への移行に焦点があたった。先進国に与えられた京都議定書が定める排出削減の期間は十年だけ。まだ大きな仕事が残っている」と先進国の排出削減を強調しました。
環境NGO(非政府組織)の世界自然保護基金は声明で、京都議定書を批准しない米国の態度を批判し、「デリーの協議は緊迫感を欠いた」と述べました。
次回の締約国会議(COP9)はイタリアで来年十二月に開催される予定です。