2002年11月2日(土)「しんぶん赤旗」
【ニューデリー1日小玉純一】当地で開催中の気候変動枠組み条約第八回締約国会議(COP8)は三十一日夜、気候温暖化対策の今後の世界的な指針を定める政治宣言「デリー宣言―気候変動と持続可能な発展」をめぐる非公式協議に入りました。温室効果ガス排出削減の取り組みで発展途上国の参加を盛り込みたい日本など先進工業国側と、それに抵抗する途上国側との対立などから協議は難航しています。
協議は一日午前五時半ころいったん休憩に入り、一日午前十時から再開され、一日中の宣言採択をめざしています。
バル議長(インド環境・森林相)は三十一日夕、二日間の閣僚級会議をふまえ、「宣言」二次案を発表。一次案で言及がなかった京都議定書の批准の呼び掛けが盛り込まれました。日本や欧州連合(EU)、発展途上国など多くの国の代表や環境NGO(非政府組織)の要望が実った形です。ただし環境NGOは米国、オーストラリアを名指しした批准呼びかけを要求しています。
宣言案は、日本などが盛り込みを求めている温室効果ガス排出削減の取り組みに途上国が参加する問題には直接触れていません。途上国側は、温暖化の主要な責任は先進国にあるという認識で、温暖化の悪影響への適応と排出ガス削減のための資金援助と技術移転を優先しています。また、議定書の批准や実行を怠っているとして先進国に不信を強めており、日本などの要求には応じない態度が強固だと伝えられています。
宣言案はさらに、ヨハネスブルクで開かれた環境・開発サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)を受けて、「気候変動とその影響に対し、持続可能な発展に関連して取り組むことが重要」とし、経済社会発展と貧困の根絶、気候変動の悪影響への適応が、途上国にとっての高い優先課題だとうたっています。そのうえで、先進国に資金と技術移転の条約上の義務を果たすことや、排出ガス削減での主導的役割を求めています。