日本共産党

2002年11月1日(金)「しんぶん赤旗」

日本シリーズをふりかえって

記者座談会

信頼背に 生き生きプレー、力を存分発揮 巨人

選手起用・さい配に消極性、流れつかめず 西武


 2002年のプロ野球日本シリーズは、セ・リーグを制した巨人が4連勝で2年ぶり20度目の優勝を飾りました。担当記者で振りかえります。

 A 戦前は接戦が予想され、見所が多いシリーズといわれたが、結果は投打ともに巨人が西武を圧倒した。

 B 巨人の選手は持ち味を存分に発揮したね。主軸はもちろん、2番の二岡がMVPをとったように、チーム全体で勝ち取った日本一といっていい。第4戦で斉藤や後藤が殊勲打を放つなど、一戦ごとにヒーローが生まれた。

監督の言葉が「心の安定剤」

 C ベンチが選手を信頼して送り出す姿勢も、のびのびとしたプレーにつながった。同じ第4戦で盗塁を決め、勝ち越しのホームを踏んだ代走の鈴木は「“おまえの足を信じている”という原監督の言葉が心の安定剤になった」と話した。代打で活躍した後藤は「打席に立つ前『松坂とは(オープン戦で打っているから)相性がいい。自信を持って思い切りいけ』といわれた」という。

 B 原監督は「一人ひとりが自分の判断で動いてくれるチームになった」と、3戦目まではサインを出したのは盗塁とバントだけだったという。この信頼を背に、選手は生き生きとプレーし、大舞台を楽しみ、さらに成長した。

 A 一方、西武はシーズン中の力を出せないまま終わった。シリーズ初体験の選手が多かったことや、短期決戦の流れをつかめなかったこともあるが、巨人と対照的だったのは伊原監督の選手起用だと思う。

 C 第4戦で先発したエースの西口は好投したが、六回に松坂に代えられてしまった。その理由は「西口は最初から飛ばしていたし、クリーンアップも3順目に入る。力のある松坂で」だったが西口は「球も切れていたし調子はよかった。(六回以降も)投げるつもりでいた」と話している。大黒柱として1年間フルに働き、チーム最多の15勝を挙げた西口を信頼し試合を託すぐらいの気持ちがあってもよかったのではないか。

困難打開する力奪うことに

 B 初回に3番打者に送りバントを命じたり、一発長打のある打者を控えに置いたりと、ベンチの消極的な姿勢を感じたよ。伊原監督は「すきのない、ちみつな野球」を掲げ、それに当てはまる選手を使い、駒のように動かしてきた。しかし、今回のたたかいをみるとそれが選手から精神的なたくましさやみずから困難を打開する力を奪ってしまったように思える。“劣勢を自分たちで切り開こう”という力強さが感じられなかった。

 C もうそういう野球では、巨人のように能力の高い選手が集まったチームには勝てない。和田が「力負けですね」といっていたが、個々のレベルアップとともに、自立した選手を育てる方向で、今後のチームづくりをめざす必要があるだろう。

広がる実力差日程も課題に

 A この10年間、日本シリーズはセ・リーグが8勝2敗と大差をつけている。大リーグ入りやフリーエージェント(FA)制でパ・リーグの有力選手が次々と出ていく現状がある。セ・パの実力差が広がり、このままでは日本シリーズの存在価値も問われる。球界全体で受けとめる課題だ。

 B 日程の問題も指摘したい。巨人も西武も、ペナントレース終了から2週間もブランクがあった。伊原監督が「せめて1週間にしてほしい」と話したように、これだけ間延びしては選手も調整に苦労する。緊張感や集中力を保つのも大変だ。最高峰のたたかいを保障するためにも、早急に考え直すべきだ。

 


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