日本共産党

2002年10月30日(水)「しんぶん赤旗」

有事法案の与党「修正」案

政府内からも「中身変わらず」

「国民保護法制」で罰則検討明記


 与党三党が合意した有事三法案の「修正」案は中心となる概念を変更するもので、法案の欠陥ぶりを示すものです。しかも、海外での武力行使に道を開くという危険はなんら変わりません。

 「法案の中身や考え方を変えるわけではない。(修正案は)国語の問題だ」。政府内からは、与党がねらう「修正」案に、こんな指摘があがっています。

 与党が「修正」の目玉にしようとしているのは「武力攻撃予測事態」の新設ですが、「修正」案は、米軍と自衛隊への物品、施設、役務の提供などの措置を発動する事態を、従来の「武力攻撃事態」から、「予測事態」を含む「武力攻撃事態等」に変更するなど、実態は同じです。武力攻撃発生の事態だけでなく、「予測」されるだけでも、国民動員などの法案発動が可能になるという危険な仕組みは、そのままです。

 与党のねらいは、有事法制は必要としながら、武力攻撃事態の概念が「あいまいだ」と批判した一部野党をとりこみ、こう着状態に陥っている有事三法案を一気に成立に向けて推進したいというものです。自民党内にも「テロ・不審船対策は警察の問題だ。自衛隊にこれ以上何をさせようというのか」という声があるのに、テロ・不審船対策を「修正」案に盛りこもうとするのも、一部野党のとりこみで、局面打開をねらったものです。

 あわせて政府が示した「国民保護法制」の輪郭も重大です。事業者に対する物資の保管命令やとりあげ、違反者への罰則検討を明記するなど、「国民保護」を名目に、武力攻撃が発生していない事態から、国民動員体制を固めてしまう内容となっています。

 国民の批判は、有事法制が米軍のおこなう無法な戦争に自衛隊が武力行使をもって参戦し、国民を動員するという点にこそあります。法案は廃案しかありません。

 (田中一郎記者)

 


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