日本共産党

2002年10月28日(月)「しんぶん赤旗」

知らないと損する 老人医療費負担

「1割」なのに「2割」の通知

申請して変更させました

川崎氏の女性から


 お年寄り医療の窓口負担は十月から、定額制(一回八百五十円で四回まで)が廃止され、定率負担が徹底されました。一般は一割負担ですが一定以上の所得がある人は二割です。ところが制度を知らないままでいると、一割の人が二割払わされることにもなります。川崎市の吉原登久子さん(76)から「知らないと損をする仕組みになっていますよ」と社会部に電話がかかってきました。(内藤真己子記者)

「まさか私が」

 吉原さんの手元に市から届いた「老人保健法 医療受給者証」には、「一部負担金の割合」の欄に「2割」と印字されていました。吉原さんは一人暮らしで収入は年金などで年四百十万円程度。「まさか私が」と驚きました。

 同封の書類を丁寧に読むと、「2割」の受給者証が届いていても、(1)単身世帯は年収四百五十万円未満(2)二人以上の世帯は七十歳以上の人の年収の合計が六百三十七万円未満―は一般と同じ一割になるとありました。

 区役所に問い合わせるとそれには申請すればよいことが分かりました。

 申請に必要なものを尋ね、国民健康保険証、受給者証、印鑑、「前年度の収入を証明するもの」として所得税の確定申告書の控えを持って区役所の窓口へ行きました。「申請書」に記入し、確定申告書の控えを添えて提出すると、その場で一割負担の受給者証に変更されました。

 しかし申請しなければ二割負担のままという、とんでもない仕組みになっていることが分かりました。

 「2割」の受給者証は全国で七十歳以上の12%程度に届いているといいます。

 知り合いに声をかけてみると、同市の杉本ハマさん(82)にも二割の受給者証が届いていました。一人世帯で年収は年金などで約四百二十六万円。やはり申請すれば一割負担になります。

 杉本さんも吉原さんのアドバイスを得て申請し、一割に書き換えることができました。新しい受給者証を手にした杉本さんは、「吉原さんから電話をもらわなかったら気がつかなかったわ。それにしても受給者証に同封されている説明の紙だけではよく分かりませんよ」と話していました。

差額払戻しも

 一割の受給者証が交付されるまで二割負担した人は、申請すれば差額(一割相当)が払い戻されます。しかし自治体が定めている申請期限を過ぎると申請の翌月からしか一割に変更されません。

 制度を知らないと損をするケースは、次の場合でもあります。

 外来の窓口での支払いが自己負担限度額(一般で月一万二千円)を超えた場合は限度額を超えた分が還付されますが、これには市町村への申請が必要です。自己負担限度額は所得によって異なり、低所得者(住民税非課税世帯)は外来も入院も引き下げられています。市町村に申請して「減額認定証」の交付を受ける必要があり、申請していないと一般と同じになります。

 


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