2002年10月25日(金)「しんぶん赤旗」
一九八七年四月の国鉄分割・民営化に伴い、JRを不採用になった全動労組合員の採用差別事件で東京高裁(村上敬一裁判長)は二十四日、JRの不当労働行為責任を認める一方、組合員が国の政策や企業のいいなりにならないから劣位に評価されたもので、不当労働行為に当たらないとして、地裁判決(二〇〇〇年三月)を支持し、控訴を棄却する不当判決を出しました。
判決は、これまでの国労事件や全動労地裁判決と違って、設立委員やJRが「使用者」であり、採用手続きの過程で不当労働行為責任は免れないと断定。中労委が九四年二月、全動労事件について、全動労組合員の採用率が28・1%で、鉄道労連(現JR総連)99・4%、鉄産労79・1%と比べて極端に低いことを示して、「組合間差別があった」と認定した事実を追認しました。
しかし全動労組合員が「国是」の分割・民営化政策や会社に忠誠を誓わせる「企業人教育」に反対するなど、「一連の行動が相当程度の重きをもって考慮されたことは否定しがたく…劣位に評価され、結果的に所属組合別の採用率の顕著な差にあらわれた」とのべ、JRに不当労働行為の意思があったと認められないと乱暴に否定しました。
判決後、争議団員や家族、支援の労働者らが高裁前で抗議行動を展開するとともに、都内で報告集会を開きました。
団員の梅木則秋さん(59)は「不当きわまる高裁判決に断固抗議する。しかし高裁がJRの不当労働行為責任を初めて認めた意義は大きい。政府とJRに責任を果たさせ、広範な支援をいっそう広げ、勝利までたたかい抜く」と話しています。