2002年10月25日(金)「しんぶん赤旗」
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芝信用金庫(東京都港区)で働く女性十三人が同金庫を相手取り、男女の昇格差別の是正と差額賃金の支払いを求めた訴訟は二十四日、最高裁第二小法廷(梶谷玄裁判長)で和解しました。解決金は約二億二千三百万円。提訴から十五年。差別の厚い壁をうち破った女性たちはこの日、晴れて課長職になりました。
また、この和解に、不当労働行為救済命令(組合差別による昇格差別の是正を一部組合員に認めず)の取り消しを求めた行政訴訟の原告・芝信用金庫従業員組合と男性組合員四人が参加し、一括和解しています。
組合分裂から三十四年。働きやすい職場をめざした二つの芝信金争議は、実質労働者側の勝利で全面解決しました。
和解条項は、(1)女性在職者六人(一・二審が昇格を認めなかった一人を除く)は課長職に昇格させる(2)定年退職者六人は退職時に課長職に昇格したとする(3)(1)で除いた一人と男性は昇格試験を改めて受験し、金庫は人事制度の運用により対応する(4)将来に向かって良好な労使関係を形成するよう努める―など。
和解内容となった高裁判決は、一審が認めた「課長職の資格」と差額賃金の支払いだけでなく、慰謝料と弁護士費用を認定。その根拠に、使用者は「人格を有する男女を平等に処遇する義務がある」とし、労働基準法三条(均等待遇)、四条(男女同一賃金)などを引用しています。これに伴う差別の抜本的是正のために昇格した地位を認め、過去と将来の差別賃金の支払いを命ずる、という画期的なものです。今回の和解で、高裁判決は「不動」(弁護団声明)のものとなりました。
原告団長の笹本美園さんは、「二十一世紀のかけ橋になる(高裁)判決が今回の和解で、消えてしまう虹でなく、コンクリートの頑丈な橋がかかったと誇りに思います」と語りました。