日本共産党

2002年10月24日(木)「しんぶん赤旗」

各党の代表質問おわる

打開策、示した党は


 小泉純一郎首相の所信表明演説にたいする各党の代表質問が二十三日に終わりました。焦点になったのは、小泉「構造改革」のもと危機的状況がいっそうの深まりをみせる日本経済と暮らし、米国によるイラクへの先制攻撃、日朝国交正常化交渉問題でした。各党の代表質問から見えてきたものは……。


経済の再建

国民と中小企業に光 共産党

「改革」支持しつつ批判 与党

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経済と暮らし、イラク、日朝問題などが焦点となった臨時国会の代表質問。質問するのは志位委員長=22日、衆院本会議

 経済問題では首相が堅持すると表明した「構造改革」にもとづく「不良債権処理の加速」が焦点になりました。

 自民党からは、小泉「改革」路線に異例ともいえる“批判”が噴出しました。自民党の堀内光雄総務会長が「改革の無理押しは、日本経済を混乱に陥れることになる」といえば、青木幹雄参院幹事長も、「『構造改革』一辺倒から脱却」をと主張。「不良債権の本格処理にともない、貸し出し先の強引な整理が進むのではないか、それにより企業倒産や失業者が増加」すると懸念を表明しました。

 しかし、その立場は「不良債権処理を早期に進めていくことが重要」(青木氏)というもの。小泉「改革」路線を「心から支持」(堀内氏)というのが前提です。アクセルとブレーキを同時に踏むような混迷ぶりでした。

 しかも自民党が要求したのは、大企業、大金持ちのための施策ばかり。補正予算の編成や、国債発行「三十兆円枠」の破棄、金融機関への公的資金の投入、投資減税や贈与税の軽減、土地「流動化」のための土地税制の見直しなどです。公明党の太田昭宏幹事長代行も「不良債権処理の加速によるデフレ圧力の緩和措置」と、自民党と歩調を合わせました。

 民主党の鳩山由紀夫代表は、不良債権の把握と公表、経営責任の明確化、公的資金の投入や一時国有化を速やかにおこなうことを求めました。社民党の中西績介国対委員長は、公的資金強制注入の法整備を要求しました。

 「国民生活の再建なくして日本経済の再建はない」と国民の暮らし、営業を守る立場から政府に経済政策の根本的転換を求めたのが、日本共産党の志位和夫委員長と市田忠義書記局長の質問です。

 二十三日の参院本会議で市田氏は「自ら立とうにも立てないお年寄りや障害者、額に汗して働く国民や中小企業に光をあてることこそ、政治の果たすべき責任ではないか」と強調しました。

 志位、市田両氏は、不況下で社会保障の三兆円をこえる負担増と庶民増税により巨額の負担増をおしつけようとしていること、「不良債権処理の加速」という名で中小企業つぶしをやみくもに進めるという、二つの重大問題を追及しました。

 そして(1)社会保障による三兆円負担増を中止する(2)国民や中小企業への増税をやめる(3)「不良債権処理」の名による中小企業つぶしの政策を転換する(4)無法なリストラをやめさせ、失業者に生活を保障する―という四つの要求の実現を迫りました。

北朝鮮問題

拉致も核も交渉で解決 共産党

交渉再開、理解できない 民主・自由

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小泉首相(右)と塩川財務相(左)=23日、参院本会議

 「日朝関係が対立から協調へ転換することは、北東アジアの平和はもちろん、世界の平和にとっても大きな意味をもっています」(市田書記局長)

 日本共産党の志位、市田両氏は、北朝鮮との国交正常化交渉問題で、両国間の諸懸案を解決するためにも交渉ルートを開くよう提案してきたことを紹介。交渉によってこそ問題の解決がはかられるという一貫した立場を表明しました。

 拉致問題で生存が確認されてない人々の消息をはじめ真相究明、責任者の処罰、被害者への謝罪と補償などを今後の交渉を通じて解決すべきだと主張。北朝鮮の核兵器開発問題も、交渉のなかで核兵器開発の即時中止、国際機関による査察の受け入れを求めていくべきだとのべました。

 与党は「交渉のテーブルにつかない限り、拉致問題の解明がやみに閉ざされたままになってしまう」(自民党・堀内光雄総務会長)と主張しました。

 これにたいし野党では民主党が「国交正常化交渉を再開するのは理解できない」(鳩山由紀夫代表)と主張。自由党も「正常化交渉を再開するとはとうてい信じられない」(藤井裕久幹事長)と発言。国交正常化交渉の再開に否定的な姿勢を示しました。

イラク攻撃

平和的解決の努力提起 共産党

無法に反対いえない 小泉首相

 イラク問題では、米ブッシュ政権がイラク攻撃の権限を大統領に与える上下両院での決議を受けて、戦争推進に突き進もうとする新たな状況のもとで、日本がどういう外交をおこなうのかが問われています。

 「首相が『国際協調が重要』というなら、国際的なルールに立脚し、国際的な平和の流れと協調すべきだ」。市田氏はアジア、中東はもちろん欧州、米国でも起こっているイラク攻撃反対の声を指摘し、こう強調しました。

 志位、市田両氏は、イラクへの攻撃はアフガンへの報復戦争とは性格を異にすること、イラク政府自身が無条件で大量破壊兵器査察受け入れを表明しているなど、大義名分も正当性も何ひとつないことを指摘。日本政府として国連の場で無条件査察の具体化と実行を求めるなど、平和的解決のために努力するよう提起し、イラク攻撃にきっぱり反対し、協力拒否の意思表示をするよう求めました。

 小泉首相は「米国による軍事行動を予断することは差し控えたい」とのべるにとどまり、無法な攻撃に反対といえない後ろ向きな姿勢を示しました。

 自民党は、イラク攻撃反対はおろか批判めいた言葉すらなく、一般的な見解を聞くだけ。公明党も「まず国際世論の圧力で国際平和に対する脅威を取り除くことが重要」(荒木清寛参院議員)とのべるにとどまりました。

 野党では、民主党は「米国にたいしても慎重に行動することを求める」(鳩山由紀夫代表)、自由党は「国連決議があれば日本も国際協調行動に参加しなければならない」(藤井裕久幹事長)と主張しました。

 


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