2002年10月20日(日)「しんぶん赤旗」
原発の損傷隠しや虚偽報告などが問題になっている東京電力で、昨年の参院選挙前に、千人を超す役員・幹部社員らがいっせいに個人献金するなど異常な政治資金集めがおこなわれ、自民党の近藤剛参院議員に流されていたことが本紙の調べで明らかになりました。
伊藤忠商事元常務の近藤議員は、昨年の参院選比例区に財界代表として自民党から立候補、初当選。同議員の資金管理団体「政治経済研究所21」の〇一年度政治資金収支報告書によると、昨年、今井敬・経団連会長(当時)などから計二千三百九十九万円の個人献金を集めています。このうち、東電の役員(元役員含む)・幹部社員千二十三人からの献金が計千百六十三万円と半分近くを占めました。
献金額は、平岩外四相談役、那須翔相談役、荒木浩会長、南直哉社長、榎本聡明副社長(いずれも当時)ら役員クラス三十五人が五万円で、ほかは一万円。しかも、十五人連記、六十九ページにわたる報告書の日付はそろって四月十六日です。
四万人近い社員の約2・5%にあたる千人を超す個人が、同じ日付で、金額もあわせて、いっせいに献金するのは不自然で、形を変えた企業献金といえます。
この事実について東電側は、「会社としては関与していない。個人の考えで献金されたものと思う」としています。
東電は、昨年、自民党の政治資金団体「国民政治協会」にも、役員三十四人が計五百十六万円の献金をしていました。
九八年の参院選では、同社の副社長を務めた加納時男氏を財界代表の自民党比例候補として擁立、関係業界のぐるみ選挙で当選させており、公益企業としてのあり方が問われています。