日本共産党

2002年10月20日(日)「しんぶん赤旗」

列島だより

老後が安心へ広がる運動

来春実施 介護保険

すすむ次期事業計画策定


 来年四月から実施される介護保険の次期事業計画の策定にあたり、日本共産党や各地の社会保障推進協議会は、自治体に向けた取り組みを強めています。


保険料値上げしないで

党県委75%の市町村に要請

山梨

 日本共産党山梨県委員会は九月十二日から、介護保険の次期五カ年の事業計画策定にあたり、高齢者の介護保険料を引き上げないことなどを求める市町村への申し入れをおこなっています。

 要請項目は、(1)第一号被保険者(六十五歳以上)の保険料基準額を引き上げないこと(2)低所得者への利用料軽減策の拡充(3)特別養護老人ホームをはじめ、施設サービス基盤の早急な拡充(4)介護予防策の推進(5)同計画策定への住民参加(6)支援策強化を国に求めること―など。

 地方議員や党支部が同月十三日までに、県内六十四市町村のうち四十二市町村(66%)を訪問して中間集計を記者発表。十月十七日までに四十八市町村(75%)に申し入れをおこない、「国の医療費の負担増や年金支給額の減額などで、高齢者の家計はますます厳しくなります。住民が安心して老後を送れるようにするための施策を次期計画に盛り込んでほしい」などと訴えました。

 党議員がいない自治体には、遠藤昭子・衆院山梨一区候補や、地区委員会が訪問しています。

 訪問先のなかで、値上げを明確に否定した自治体はなく、「値上げをせざるをえない」との回答は三自治体。

 首長とも各地で懇談になり、「できるだけ住民負担の少ない方向でいきたいが、財政的には大変」「施設ができて利用者が増え、保険料を上げざるをえない」「検討しているが大変だ。値上げになってしまう」などの回答がありました。

 自治体幹部や担当者からは、「財政が問題だと思う」「町村合併をにらむと町だけで判断できない」などの声があがりました。

 県都・甲府市への要請には、加藤裕、石原剛、小越智子の三市議、内藤司朗市議候補が参加。

 「六億円にものぼる基金を取り崩し、保険料は値上げせず、引き下げを検討すべきです」などと指摘しました。

 また、上野原町の奈良明彦町長からは、「(保険料を)現状維持することは困難と思われる」とする一方で、基金の取り崩しについて「現段階では考えられる」との回答が文書で寄せられました。

 中岡晴江県議は、「住民と共同しながら、切実な要求を実現していきたい」と話しています。(山梨県・清水英知記者)


アンケートもとに対話

13市町村へ丹南社保協申入れ

福井

 福井県の丹南社会保障推進協議会準備会は八月三十日、九月二日の両日、来年四月から実施される第二期介護保険事業計画の策定について、この改善・充実を求め日本共産党の各地方議員とともに、県のほぼ中央部にある丹南地区の武生市、鯖江市など二市八町三村の自治体を訪問・申し入れました。

 事前に郵送しておいた事業計画に関するアンケートをもとに対話。サービスの利用状況や利用料の負担感、今後どこに重点をおいて取り組んでいくのかを話し合いました。同会は低所得者の減免制度の実施、未納者・滞納者に対する相談・援助窓口の設置、要求に見合った基盤整備の促進などを求める要望書を各自治体に提出しました。

 現行の制度は「おおむね順調」と回答する自治体が大多数で、その根拠に保険料の収納率の高さ、各自治体が行ったアンケート結果に利用料の負担感は妥当との回答が多かったことを挙げています。

 同会からは収納率の高さの背景に、年金天引きなど滞納できない現状があることが述べられました。

 ある自治体では「今の国のやりかたで、医療や福祉に採算性を持つことは困難」「今は利用者の顔を直接見ることができるが、市町村合併でサービスが低下してしまわないか心配」など社会保障に苦悩する担当者の姿も見られました。

 県社保協事務局の松原信也さん(60)は「大事なことは数字だけでなく、一人一人の実態を顔をみてつかむこと。保険料が払えず、はざまに立たされている人が現実にいる。そういう人を残さない制度を確立していくために、実際に声を聞いたり自治体ごとの要求をくみ取り交渉していきたい」と話しています。 (福井県・村井みき通信員)


国の責任で制度充実を 計画に住民の声を

 各市町村では現在、介護保険制度で提供するサービスや介護保険料などを定めた介護保険事業計画の見直しが行われています。来年四月からは、新しい事業計画にもとづく運用が始まります。

 市町村の計画見直しでは、住民の意見を反映させることが法律(介護保険法第一一七条五項)で定められています。

 計画見直しについて説明を求め、介護保険制度のもつ欠陥や課題を訴えて、低所得者に重い保険料や利用料の減免、増えている介護施設入所待機者の解消など改善を迫っていく住民運動が、いま重要になっています。

 とくに、真に介護を必要とするお年寄りが、保険料・利用料の重さから十分なサービスを受けられない問題は、国と自治体の責任で緊急に解決すべき課題です。

 じっさい、住民要求を反映して低所得者の保険料・利用料を独自に減免する市町村は増えています。厚生労働省調査(今年四月一日現在)でも、保険料減免は全市町村の約13%の四百二十九自治体、利用料軽減は約25%の八百二十五自治体に広がっています。

 現行制度のもとでは、計画見直しで、多くの市町村は、お年寄りの保険料の値上げという問題に直面せざるをえません。全国平均で約11%の値上げ、総額で千九百五十億円の負担増が予想されています。

 国は「保険料値上げは当然」という立場です。国が低所得者の訪問介護利用料にかぎって適用してきた軽減措置(3%)も、来年度から段階的に引き上げようとさえしています。

 すでに国は十月から、お年寄りの病院での窓口負担を引き上げ、来年四月からは、お年寄りの受け取る年金額の削減まで狙っています。それに加えて、介護保険料・利用料まで重くしようとしているのです。このままでは、低所得者を中心に制度から事実上、排除されるお年寄りが増えかねません。

 市町村に対して、保険料値上げの中止や減免制度の創設・拡充などを求めていきましょう。

 同時に、国に対して、現在四分の一の国の財源負担を二分の一に引き上げるなどして保険料値上げを抑制し、国の制度として減免制度を確立することなどを求める運動が重要になっています。(地方部・村崎直人記者)

 


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