日本共産党

2002年10月16日(水)「しんぶん赤旗」

査察 無条件で受入れ

イラク国民議会議長、外務省第1局長

8大統領宮殿含む全施設・場所

日本共産党・緒方国際局長に表明


 【バグダッド13日小泉大介】アメリカの主張する対イラク戦争をめぐる情勢が緊迫の度を増す中、イラクを訪れている日本共産党の緒方靖夫参議院議員・国際局長と森原公敏国際局次長は十三日、イラク国民議会(国会)のサドゥーン・ハマディ議長、およびタジ・ファイサル外務省第一政務局長とそれぞれ会談しました。

 この会談で、ハマディ議長は、「国連の大量破壊兵器査察チームによる無条件査察を受け入れる」というイラク政府の立場を説明。「疑問があるなら、何でも持ち出して探してもらいたい」と語りました。

 またファイサル局長は、無条件査察を受け入れる立場を確認するとともに、査察対象について、八つの大統領宮殿を含むすべての施設、場所への査察を無条件で認めるというイラク政府の立場を表明。「新たな査察の開始を受け入れ、現在も大量破壊兵器能力を持っていないことを明らかにし、国連に協力して、この問題を一刻も早く終わりにしたい」とのべました。

 緒方氏が大量破壊兵器に関するイラクの立場をただしたのに対してこたえたものです。

 緒方氏は、大量破壊兵器全廃という国連安保理決議を完全に実行するために無条件査察を受け入れ、事態を国連の場で、国連憲章にもとづいて解決することは、イラクだけでなく二十一世紀の国際平和秩序を確立するという意味でも、国際社会全体にとっての重大な課題になっていると指摘。イラク側がアメリカに戦争の口実を与えることなく、イラクが関連する国連安保理決議を実施することが求められている、とのべました。


日本共産党緒方国際局長、森原国際局次長と
イラク国民議会議長との会談

 【バグダッド13日小泉大介】イラクのサドゥーン・ハマディ国民議会(国会)議長との十三日の会談で、日本共産党の緒方靖夫参議院議員・国際局長と森原公敏同次長は、日本共産党は、戦争回避と平和解決のための外交活動をもっとも重視しており、イラク当局にたいし見解を直接ただす機会を持ちたかったと訪問の目的をのべました。

 緒方氏は、イラクの大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)全廃という国連安保理決議を完全に実行するためにイラクが無条件査察を受け入れ、事態を国連の場で、国連憲章にもとづいて解決することは、イラクだけでなく二十一世紀の国際平和秩序を確立するという意味でも、国際社会全体にとっての重大な課題になっていると指摘。アメリカに戦争の口実を与えることなく、イラクが関連する国連安保理決議を実施することが求められている、とのべました。

 これにたいしハマディ議長は、イラクがこの八年間、関連する国連安保理諸決議を実行してきたと指摘。大量破壊兵器の全廃についても大部分が達成されていたことは、国連査察チームの責任者による国連安保理への一九九七年の報告で証言されているとのべつつ、新たな国連査察チームによる無条件査察を受け入れるとのイラク政府の立場を説明しました。

 同議長は、イラク国内でこの七年間におこなわれた国連による査察回数や査察官などの具体的な数のリストを読みあげつつ、査察が終わる局面になると米・英政府は新たな問題を持ち出し、イラクにたいする経済制裁を継続しようとすると主張。「疑問があるなら、何でも持ち出して探してもらいたい。そのうえで、何もないとなったら経済制裁は解除されるべきだ」と語りました。同議長はその一方で、「独立か、アメリカ軍による占領か? と問われる事態になれば、われわれは最後までたたかう」とものべました。

 この会談のなかでハマディ議長は、米政府だけでなく、国連の査察行動にたいしてもイラク側には「不満」があるとのべました。これにたいし緒方局長は、そのような問題があったとしても、イラク側のこれまでの対応のなかにも事実を隠したり、他をあざむいたりするなど、国際社会にイラクの意図についてさまざまな懸念をもたらした点もあることを率直に指摘しました。無条件査察を受け入れるとした九月十六日のイラク政府の政策は、戦争回避という方向への一歩だと受け止められているとのべ、この問題を政治的取引に使うのではなく、国際社会の前に真実を明らかにする公開性という点での積極的姿勢を希望すると表明しました。

 緒方氏のこうした見解に、同議長は同意を表明しました。

 緒方氏は戦争回避のために、アメリカ側に戦争開始の口実を与えないようすべての可能性を尽くす必要があることを重ねて強調しました。


イラク外務省第一政務局長との会談

 【バグダッド13日小泉大介】日本共産党の緒方靖夫参議院議員・国際局長と森原公敏同次長は十三日、イラク外務省でのタジ・ファイサル外務省第一政務局長との会談で、アメリカの主張する対イラク戦争を引き起こさないため、国連の場で、国連憲章にもとづいて平和的に交渉によって解決されるべきだと前置きして、直接イラク政府の見解をただしました。

 ファイサル局長は、八つの大統領宮殿を含めてすべての施設、場所への査察を無条件で認めるというイラク政府の立場を強調しました。同局長は、イラクの大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)の保有と製造能力については九八年までの国連の査察で95%が廃棄されており、わずかな問題が残っていたにすぎなかったとのべつつ、「国連による新たな査察の開始を受け入れ、現在も大量破壊兵器能力を持っていないことを明らかにし、国連に協力して、この問題を一刻も早く終わりにしたい」と表明しました。

 緒方氏は、また、九八年以来の査察拒否の理由、査察についての新たな国連決議案をめぐって浮上している国連武力部隊の同行査察などへのイラク政府の立場をたずねました。

 同局長は「イラクが査察を拒否したことはなかった」と主張。アメリカがイラクと国連査察チームとの間で紛争を作り出してきたとして、「例えば、金曜日(イスラムの聖日)に信者が祈っている場所の査察を求めたり、大量破壊兵器に関する存在しない文書を提出せよと要求したことがあった」とのべるとともに、イラクに関する国連安保理決議にイラクの主権を尊重すると明記されていると、強調しました。

 国連安保理での新決議案について同局長は、拒否とはいわず、「採択されてから考える」とのべ、フランスが強く反対し、ロシアも反対で、中国も同意してはいないと説明しました。

 緒方氏は、無条件査察にたいするイラク政府の対応の変化を国際社会が歓迎しているとし、イラクが、湾岸戦争の停戦決議であり大量破壊兵器の廃棄を求めた安保理決議六八七をはじめとする国連諸決議を完全に履行し、米国に武力攻撃の口実を与えない姿勢を示すことが重要だと強調しました。


イラクのメディア

中東訪問団の会談の様子報道

 【バグダッド14日小泉大介】イラクを訪問中の日本共産党代表団(緒方靖夫参議院議員・国際局長、森原公敏同次長)が十三日、イラク国会のハマディ議長と会談した模様を、同日午後九時の国営テレビニュースが放映、十四日付地元二紙も報道しました。

 会談記事を掲載したのはイラク・デイリー(英字紙)とアル・ジャムフーリヤ(アラブ語紙)。イラク・デイリー紙は、ハマディ議長が代表団を歓迎しつつ、査察団復帰の受け入れ用意の意思と、大量破壊兵器の保持を理由に米政府がめざすイラク攻撃への口実をなくすために、査察団と「真剣に協力する」ことを繰り返したこと、日本の国会との関係を発展・強化することへのイラク側の熱意を表明したことを紹介しました。

 


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