2002年10月12日(土)「しんぶん赤旗」
【ローマ11日島田峰隆】イタリアの自動車最大手フィアットが約八千人のリストラ案を発表したことに対し、三大労働組合(イタリア労働総同盟=CGIL、イタリア労働組合連盟=CISL、イタリア労働連合=UIL)は十一日朝、リストラ案撤回と政府の介入を求めて全国六工場で一斉に四時間のストライキに入りました。
労組のまとめでは、午前十一時の時点で各工場で軒並み労働者の約80―90%が参加しているといいます。北部トリノや南部シチリア州のパレルモ近郊では、労働者が高速道路を封鎖するなどしてリストラ撤回を訴えました。
労働者による反対運動は、リストラ計画が明らかにされて以来、四日連続で続いています。十日にも全国各地で数千人がデモ行進しました。
CGILによると、今回のリストラの影響で失業する労働者は関連企業も含めると約四万人にまでのぼるといいます。とりわけ六工場のうち四工場は、もともと比較的失業率が高い中南部にあり、地域経済に与える影響は致命的です。
完全閉鎖が発表されたテルミニ・イメレゼ工場に近いパレルモ市の市長は十日、危機打開に政府が動くよう求めました。同市の司教らも「政府による緊急で具体的、責任ある介入」を求めるなど、政府による対策を求める声が各方面に広がっています。
十一日にはシチリア州出身の国会議員らがフィアットの経営陣と会見する予定です。
一方、右派政府はこれまでのところ、車の買い替え促進のための免税支援策を取ることと、来年度予算案に失業緩和策を組み入れる姿勢を示しているだけです。