2002年10月11日(金)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は雇用保険制度改悪の理由を、同制度の「安定的な運営を図る」ためだとしています。雇用保険財政が悪化しているからしかたがないという姿勢です。しかし、経済・雇用を悪化させたのは、悪政を強行する政府の責任です。
しかも、失業率が急速に悪化を始めていたにもかかわらず、国庫負担率を引き下げ続けたのは政府です。財政悪化はまさに政府自身が作り出したもの。それを、明日の見通しもたたない失業者への手当の削減でしのごうとするのは、まさに反国民的やり方です。
雇用保険法は給付総額の四分の一の国庫負担を政府に義務付けています。赤字になったときには三分の一まで増額することも認めています。今やるべきことは国庫負担の増額です。ムダな公共事業や軍事費などにメスをいれ、国民の暮らしと社会保障を最優先する方向へ財政を転換すべきです。
厳しい雇用情勢下にあるいまこそ、失業者とその家族の命の綱(セーフティーネット、安全網)としての真価を、同制度に果たさせるべきです。
しかし厚労省は、同制度のほとんどの施策で削減方向を打ち出しました。特に、再就職時の賃金が低いから給付も下げるという「逆転現象解消論」は、財界・大企業が狙う労働者の低賃金・不安定雇用化を促進し、そこに失業者を追い込む暴論です。(篠田隆記者)