2002年10月11日(金)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は十日、失業者に失業手当を支給する雇用保険制度について、給付率を引き下げ、給付日数も短縮する給付関係の改悪案をまとめ、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に提示しました。同省は「給付と負担の両面から見直す」としており、今後は保険料引き上げなど負担強化を含めた同制度改悪法案をまとめ、来年一月の通常国会に提出します。(5面に解説)
現行給付率は、六十歳未満で失業前六カ月の平均賃金の60―80%、六十〜六十四歳で50―80%ですが、改悪案は50―80%、45―80%に引き下げます。四十五〜五十九歳の場合、現行上限額の日額一万六百八円は七千三百十円に31%下げます。
理由は“再就職した際に見込まれる賃金が失業手当を下回る場合はなかなか再就職しようとしない傾向があるため、手当を引き下げ再就職を促進させる”という「逆転現象解消論」です。賃金低下を当然視し、同制度でこれを労働者に押しつけるものです。
給付日数は、定年退職者など一般離職者は現行最長百八十日を百五十日に短縮、倒産・解雇などによる離職者は現行最長三百三十日は変えず、三十五歳〜四十五歳未満のみ現行最長二百四十日を二百七十日に延長します。
小泉内閣は不良債権の最終処理を加速するとしており、失業者激増は必至の情勢です。セーフティーネット(安全網)の充実こそ必要ですが、今回の改悪案はこの情勢に逆行しています。