2002年10月9日(水)「しんぶん赤旗」
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トラックなどの運輸労働者らを組織する建交労(全日本建設交運一般労働組合)北海道本部の青年たちは、九月末の大会をきっかけに青年部を立ち上げ、青年労働者の要求を実現しようと意欲を燃やしています。
札幌市郊外にある定山渓のホテルに道内各地から青年たちが集まってきました。長距離トラックの運転手、労災・職業病を摘発する組合専従、学童保育の指導員と職種も仕事の地域も違う普段は顔を合わせない仲間が集いました。実に四カ月ぶりだといいます。
其田康晴さん(33)は、札幌市にある小林運輸倉庫に勤めています。一昨年夏、労働組合の結成を嫌った会社側がわずか五畳のプレハブ小屋に二十人の組合員を押し込め、仕事を与えずに「隔離」しました。「嫌がらせはやめろ」という世論と運動に押され、会社側は団体交渉を拒否し続けたことを陳謝して、「隔離部屋」から解放しました。
しかし会社は業務ごとに分社化し、労働者同士を競わせ、長時間労働がまんえんしています。其田さんも北海道から東京・首都圏へ五日〜一週間がかりで長距離トラックの乗務をしています。
「未払い残業代を支払えと何年も争っているトラックの先輩たちもいます。解決したら組合を離れたり、途中で投げ出す青年も少なくないけど、ねばり強くたたかわないと要求は前進しない。多くの青年に知らせたい」
十勝支部の土屋加奈子さん(22)は、組合の専従になって二年二カ月。東京の大学を中退して、組合活動に入りました。
「父が建設関係の会社を経営していましたが、多額の負債を抱えて自殺したんです」と告白すると、参加した一同は「えっ」と絶句しました。
土屋さんは続けます。「これからどうすればと思っていた時、父の友人の建交労の人たちに出会い、まじめに働いている中小業者や労働者が報われないのは、今の政治が悪いんだってことがだんだんわかってきました」
建設国保に加入してもらおうと、建設現場に出かけていくこともしばしばです。「若いのにがんばってるな」といって年配の労働者が歓迎してくれる、といいます。
「労働相談に訪れる人が父の思い出と重なることがあります。『このまますすんでいくと、父さんと同じ道に行きつきそう』と思い、自然と相手の立場になって、相談も真剣になるんですよ」
青年たちは夜が明けるまで話に熱中し、今年中に青年部を結成し、励まし合って活動しようと話し合いました。
建交労道本部の出口憲次書記次長(27)は「アルバイトやパート、派遣と青年の多くが不安定雇用労働者で、要求は多様で切実です。私たちがどんどん青年労働者にアタックし、仲間の輪を広げたい」と話しています。