日本共産党

2002年10月6日(日)「しんぶん赤旗」

労働者告発でサービス残業代支払う

都内67企業で15億円


東京労働局が勧告、指導

 残業しても割増賃金を払わない、いわゆるサービス残業をさせている企業にたいし、東京労働局が勧告・指導した結果、総額十五億円が労働者に支払われたことが五日までにわかりました。違法なただ働きに泣き寝入りせず、労働者や家族が電話や投書などで情報提供、日記をつけて申告して是正されたケースが増えています。

 割増賃金を支払ったのは、昨年一月から今年六月までの期間に、勧告・指導をおこなった都内(一部都外を含む)六十七企業七百十八事業場で、受け取った労働者は一万五千二百二人です。一事案あたりの支払額が百万円以上のものを集計しています。支払額がもっとも多かったのは、損害保険会社A社で三億一千万円、受け取った労働者数は六千八百六十五人。次いで信用金庫Bが二億六千万円、千百四十一人となっています。労働者一人あたりの平均支払額は約十万円、一人あたりの最高支払額は二百三十四万円でした。

 業種別では、商業(スーパーや百貨店など卸小売業)がトップで十八企業、金融業と製造業がともに九企業と続きます。企業規模別でみると、五千人以上の大企業は八企業にとどまりますが、是正された労働者数では54%をしめました。

 残業や休日労働をさせて割増賃金を支払わないのは、労働基準法三七条違反です。横行する違法行為に職場から告発の運動がすすみ、日本共産党もたびたび国会質問でとりあげてきました。厚生労働省も重い腰をあげ、昨年四月にサービス残業根絶の通達を出して監督、指導を強めています。東京労働局が三七条違反に限って是正結果をまとめたのは初めてです。


連絡先を忘れずに
会社には知らせません

 東京労働局によると、投書や電話などによる情報提供型がふえ是正の力になっているといい、同局の担当者は「投書や電話をもらっても連絡先がわからないと追加情報の確認ができないために断念することが多い。情報をいかしたいので、ぜひ氏名・連絡先を明らかにしてほしい」と話します。

 「会社に知られるのでは」との不安については、「守秘義務があり、本人の承諾なしに当事者の氏名を会社側に伝えることはない。当事者が特定されないように、他の部署・職種を含めて調査をおこなっているので安心してほしい」とのべています。

 


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