2002年10月5日(土)「しんぶん赤旗」
コンピューターメーカーの富士通は、長野、兵庫の両県に続いて栃木県でも従業員全員を対象にした早期退職募集を発表しました。「職場での無法は許せない。富士通は雇用と地域経済に責任を果たせ」と日本共産党県委員会が宣伝や対話にとりくんでいます。
|
今回のリストラは、小山工場(小山市)の全従業員二千二百五十人と那須工場(大田原市)九百人を対象にした大規模なもの。退職せずに子会社や関連会社で働く場合でも、雇用期間が一年単位の契約社員にさせられます。勤務時間は会社の都合に応じて設定され、時間外手当や有給休暇は法定水準まで引き下げるとしています。九月十八日に発表し、締め切りは十月一〜十五日で、わずか二週間で進退を決めろという身勝手なものです。
日本共産党栃木県委員会は、リストラ計画が発表されるとただちに「富士通リストラ対策本部」(本部長・木塚孟書記長)を設置しました。これを地方紙が報じると、さっそく電話が相次ぎました。
「対策本部を設置したことを知ったが、どういうことをやってくれるのか」といってきた五十代の労働者。「会社は何も責任を果たさず、労働者にだけ責任を押しつける。共産党にがんばってほしい」と語りました。
小山工場の三十代の労働者は「寝たきり老人をかかえているのに、上司からやめるのが当然であるかのように退職を迫られた」と悩みを連絡してきました。
党対策本部のメンバーは、日本共産党の木島日出夫衆院議員が七月、富士通本社に要請したさい、会社が「今回の対策はあくまで希望退職の募集」と答えた話を紹介。「退職の強制はできません」というと、労働者は「話を聞いて元気がでてきた。残って働きたいといえばいいんですね」と声を弾ませました。
那須工場の中年労働者も「会社は赤字続きで先行き不透明。この際、退職しようかと思う」と打ち明けました。電話を受けた事務局員は「リストラは“企業の存亡”にかかわって行われるのでなく、人件費削減で利益をあげようとするもの。退職しないで生活を守ることが地域経済も職場も守る道です」と話すと、労働者は「退職は考え直したい」といいました。
富士通は最近も、鹿沼工場(鹿沼市)の閉鎖を発表し、数人の「残務整理要員」を残して先月末までに約二百二十人が退職に追い込まれました。同市内の在住者は半数にあたる百十人。「高齢者が多く、ほかでの吸収・採用は不可能」(ハローワーク)という事態に。退職した労働者からは「出口が見えない」との声があがっています。
党対策本部は九月二十五日から、工場門前での宣伝を開始しました。十月四日には、工場は残すという小山・那須両工場の労働条件はどうなるのか、責任ある計画を提出させる―など三項目の要望書を福田昭夫県知事あてに提出しました。
宣伝では、日本共産党が発表した「深刻な経済危機から国民の暮らしをまもるための四つの緊急要求」も紹介し、「退職強要やサービス残業など職場での無法を一掃しよう」「リストラで大量に失業者をつくった富士通など大企業から特別保険料を徴収し、財源を確保して、雇用保険の給付期間を一年間まで延長しよう」と訴えています。