2002年10月2日(水)「しんぶん赤旗」
【ワシントンで遠藤誠二】米連邦議会専門紙「ザ・ヒル」二十九日付は、米ソ対立時代、「ソ連封じ込め」政策を提唱した元外交官ジョージ・ケナン氏のインタビュー記事を掲載。同氏は、ブッシュ現大統領が示した先制攻撃を含む新戦略(ブッシュ・ドクトリン)や対イラク戦争計画を痛烈に批判しました。
ケナン氏は、ブッシュ政権が二十日に発表した、先制攻撃などを盛り込んだ国家安全保障戦略について、「基本的に大きな間違いである」と指摘。同戦略発表前から政権指導部が先制攻撃の必要性などを説くブッシュ戦略についても、「予想のつかない数十もの状況を(一つの)ドクトリンで定義づけるのも大きな間違い」として批判しました。同氏はさらに、「唯一の超大国といえども、米国は世界で起きているすべての痛ましく危険な状況に直面すべきでない。能力を超えている」とものべ、世界中に覇権の手を広げる干渉政策にクギを刺しました。
ケナン氏はまた、イラクに対する攻撃は「対テロ戦争とは無関係」と強調。国際テロ組織アルカイダとフセイン・イラク大統領の関連を指摘する現米政権の主張について、「心情として支持できず、信用もできない」と語るとともに、「軍事外交の歴史を振り返れば、(戦争を始めた指導者は)戦争の最初の目的とは違ったことを最後に見ることになる。もしイラクへの戦争を始めたら、最終的にどこに行き着くのかは絶対に誰も分からない」と主張し、イラクへの大規模軍事侵攻計画に対し反対の意思を表明しました。
ケナン氏はまた、対イラク戦争で大統領に大幅な権限を与える議会決議について、「良くないことに導く」と指摘する一方、「ブッシュ大統領は、議会の明確な信任なしに計画(イラク攻撃)を行うべきでない、米国の伝統に反すること」であると強調しました。