2002年10月2日(水)「しんぶん赤旗」
いまや国民のだれもが身の回りに失業者やリストラ・就職難に直面してる人がいる――こういわれるほど雇用情勢が深刻です。
昨年七月以来、完全失業率は5%台が続き、とくに五月以来5・4%と最悪に近い水準が続いています。
雇用不安と高失業を打開することは差し迫った課題です。そのためにまず大企業の無法なリストラを規制し、失業者を増やさないことです。
日本共産党が先に発表した「深刻な経済危機から国民の暮らしをまもるための四つの緊急要求」の中で提起しているように、退職強要やサービス残業(ただ働き)など職場での無法を一掃することは重要です。
無法の典型がNTTの十一万人リストラです。五十歳以上に退職・賃下げ再雇用を迫り、拒否すると見せしめの遠距離配転にするなど法律、判例、労働協約とILO(国際労働機関)条約にも反する違法・脱法の手口を特徴としていました。
こんな無法と脱法行為を取り締まるのは政府の責任です。
同時に「利益のためならなんでもあり」というやり方は、相次ぐ企業不祥事にみるように企業そのものもだめにします。
企業が株主だけではなく、労働者はじめ利害関係者に責任を負っていることはいまや常識です。雇用を守る社会的責任を果たすべきです。
見逃せないのは、リストラのあとの職場で、長時間残業やサービス残業がまん延していることです。
厚生労働省調査でも、29%の事業場で割増賃金違反があるほどです。
完全失業者が三百六十一万人いる一方で、長時間労働が横行し、過労死や過労自殺が多発していることは放置できません。異常な長時間労働の是正は雇用拡大にも役立ちます。
急がれるのは失業者への仕事と生活の保障です。総務省調査では、完全失業者のうち雇用保険の失業給付を受けている人はわずか二割であり、「収入なし」が五割を占めます。
欧州諸国は失業者の七、八割が失業給付を受けており日本の雇用保険の貧弱さは明らかです。
雇用保険の改悪で、失業給付が自発的離職の場合は大幅に短縮され、雇用保険料(労使折半)は、財政悪化を理由に月収の1・2%から1・4%に引き上げられました。
「緊急要求」は、当面少なくとも失業率が3%程度に戻るまでの四つの緊急措置を提起しています。
第一が雇用保険の給付期間を一年間まで延長する、リストラで大量に失業者をつくった大企業から特別保険料を徴収するなどして財源を確保することです。
中小企業は雇用を懸命に支えているのに、大企業は雇用を減らし続けており、当然の措置です。
雇用保険が切れ、生活が困窮する失業者への生活保障制度の創設、学費の緊急助成や住宅ローンのつなぎ融資など家庭を維持する制度の創設、臨時のつなぎ就労の場を自治体がつくることも提起しています。いずれも失業者の切実な要求です。
重要なことは、こうした雇用対策は日本経済の立て直しのうえでも不可欠になっていることです。
無法なリストラで失業者を増やすだけでは、国民の所得と消費は低下し経済危機を深めるだけです。不良債権処理の促進をうたう小泉「改革」は倒産と失業に拍車をかけます。
国民の暮らしを支える政治に切り替えてこそ、大不況から抜け出す道も開かれます。雇用と暮らしを守る幅広い共同を強める時です。