2002年10月1日(火)「しんぶん赤旗」
第二十七期囲碁新人王戦(赤旗編集局主催)の決勝三番勝負第二局が三十日、東京・千代田区の日本棋院で行われ、午後五時五十一分、177手で黒番の張栩(ちょう・う)七段(22)が高尾紳路七段を中押し勝ちで破り、二勝〇敗で初の栄冠を手にしました。
張七段は台湾台北市出身、林海峰九段門下、一九九四年入段、二〇〇〇年棋聖、本因坊両リーグ入り、〇一年本因坊戦挑戦者、〇二年NHK杯優勝。棋界のホープとしていま一番注目されている棋士です。
張七段の話 序盤で打てそうな雰囲気になって、自分としてはうまく打てたと思います。いままで新人王戦では、一度も勝ち上がれなかったので、今回は優勝をねらっていました。最後の寄せのところで少し難しくしましたが、注目度の高い新人王戦で勝てて本当にうれしいです。
第二十七期囲碁新人王戦(赤旗編集局主催)の決勝三番勝負第二局は、第一局で先勝した張栩七段が黒番、追う高尾紳路七段が白番で午前十時、立ち会いの石田章九段、大内田和子赤旗編集局次長らが見守る中でスタート。
序盤は、穏やかな出だしながら第一局と同じくスピード感のある着手がつづき、黒が41手目で下辺の白陣地への攻めを見せ、ここで昼食休憩。再開後、下辺の難しい攻防は黒の実利、白の中央進出の分かれ。
中盤に入り黒が左下隅をノゾキ、白が左辺で反発。ここからたたかいに突入。黒は上辺の白模様を消し、白は中央に地を持ちましたが、午後五時すぎ記者室で検討中の石田九段、王立誠棋聖らは「盤面十目ぐらい黒がいい」、武宮正樹九段は「何も起こらなければ黒完勝」と判定。
白は134手で中央に勝負手を放ち必死にばん回を目指しますが、勝ちをよみきった黒は冷静に寄せきり午後五時五十一分、177手まで黒番中押し勝ちしました。
準優勝の高尾七段は、「完敗でした」と語り、立ち会いの石田九段は「白30の三々入りが少し早すぎて形勢を損なったようです。黒は左上隅をうまく打って差をひろげました」と話しました。
黒番張 栩七段
白番高尾紳路七段
(持ち時間各五時間、黒五目半コミ出し)
(1〜177手)
黒65接ぐ(58)
消費時間
張七段 2時間52分
高尾七段 4時間14分