2002年9月30日(月)「しんぶん赤旗」
自民党の下村博文・法務政務官(衆院東京十一区選出)が、三年半にわたって、私設秘書の給与を家電販売大手のビックカメラ(東京・豊島区)に負担させていたことが本紙の調べでわかりました。政治資金規正法では、秘書給与を企業に肩がわりさせた場合、収支報告書に寄付の記載が必要ですが、同議員側は本紙の取材を受けるまで三年半も違法状態を続けており、法務政務官の資格が問われています。
ビックカメラが給与を肩がわりしていたのは、下村議員の地元事務所の私設秘書。私設秘書になったのは数年前で、自民党の秘書会名簿にも下村議員秘書として記載されています。
本紙入手の資料などによると、この秘書は、一九九九年四月から現在までの約三年半にわたり、ビックカメラから月額二十八万五千三百円、年二回のボーナスも含め総額約一千五百万円を給与として受けていました。
政治資金規正法では、金銭だけでなく財産上の利益供与なども寄付とされ、秘書給与負担は企業の寄付となります。このため、収支報告書に寄付の記載をしなくてはなりませんが、下村議員側は記載していませんでした。
ところが、本紙が下村議員の事務所を取材したあとの二十五日になって、突然、同議員を支部長とする自民党東京都第十一選挙区支部が東京都選挙管理委員会に、九九年、二〇〇〇年、二〇〇一年の三年分の収支報告書訂正届けを提出。ビックカメラから、九九年で三百二十一万円余、二〇〇〇年で四百七万円余の寄付があったと訂正しました(二〇〇一年分は未公表)。
政治資金規正法では記載すべき寄付を記載しない場合、五年以下の禁固または百万円以下の罰金とされており、法に厳正であるべき法務政務官だけに下村議員の責任が問われています。
ビックカメラは、東京・有楽町の「そごう東京店」跡に出店するなど首都圏を中心に大阪、福岡、札幌などに店舗を展開しています。
本紙の取材にたいし、ビックカメラはいったん「調査する」と答えながら、調査結果については「コメントできない」と回答を拒否。また、下村事務所は、本紙の取材後、訂正しておきながら、「適正に処理している」といい、「(訂正について)答える必要はない」などという態度です。