2002年9月30日(月)「しんぶん赤旗」
【ローマ28日島田峰隆】「イラク攻撃をやめさせよう」「ブッシュとベルルスコーニ首相こそがならず者」「イタリアから米軍基地をなくせ」―ローマで二十八日、野党のイタリア共産主義再建党が主催する全国デモ行進が行われ、十万人以上(主催者発表)が参加しました。
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デモ隊列の先頭には、赤色で「戦争にノー」とかかれた大横断幕が掲げられ、参加者らは旗をふりながら声をあげて歩きました。
このデモは毎年、来年度予算の審議が始まる秋に、教育や福祉向け予算の増額など当面の要求を掲げて同党が行っているもの。今年はブッシュ米政権がイラク攻撃を検討する中、イラク攻撃反対が最大のスローガンとなりました。党員や支持者のほか、左翼民主(党)の左派や経済のグローバル化(地球規模化)の問題に取り組む団体なども「戦争反対」を一致点に参加しました。
終結集会で演説した同党のベルティノッティ書記長は「米国は自衛のためには先制攻撃も辞さないというが、国際法や国連を抹殺する発言であり、ブッシュ大統領は戦争挑発者だ」と厳しく批判。「戦争が市民に被害を与えることは明確であり、イタリアと世界の隅々に反戦運動を広げて対抗しよう」と訴えました。
サルデーニャ島からきたレッカさん(47)は「政府はイラク攻撃に協力を約束したが、危険な目にあうのは前線に送られる若者や国民だ。戦争は絶対に阻止しなければ」と話していました。
【ロンドン28日田中靖宏】ロンドンで二十八日行われた反戦デモの参加者に聞きました。
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「このままでは戦争になると思って参加した。なぜいま急にイラクが脅威になったのか。本当に戦争が必要なのかどうか。政府の説明に納得できない。右翼的な米国のブッシュ政権に引きずられるのは危険だ」=法律事務所勤務のコンピューター技師メッツさん(28)=
「国連決議があればイラク攻撃も仕方ないと考えている人も多い。だけどブッシュは決議があってもなくても戦争するつもりだ。イスラエルとアラブに違う基準を適用する二重基準をみてもわかるように、米国の戦争の真の目的は石油の確保だと思う。ブッシュ政権の先制攻撃理論の根底には経済的な利害がある。英国の追随をやめさせるのは今日のような大衆行動にどれだけの人が参加するかにかかっている」=英南部ブリストル市の反戦連合のリジー・ホワイトさん(53)=
「十五歳のときから反核運動に参加したけど、最近はあまり熱心でなかったの。でも今日は絶対いかなければと思って。ブッシュ政権を見ていると人を脅かすようなアドバイザーに取り巻かれている感じがする。テロの被害にあって恐慌状態になっているのでは。世界がどうなるか心配です。アフガニスタンもそうだけど戦争した後はどうするのか。中東全体がますます混乱して危険になるのでは」=南部ロンドンCND(核軍縮運動)のチャンドラーさん(60)=
「ロビンフッドの里ノッティンガムからバスを仕立ててきた。緊張はブッシュがつくっている。どんな理由があろうと一方的な軍事攻撃は正当化できない。たしかに大量破壊兵器は脅威だ。でも、そのために戦争するなんてばかげてる。まったく異常だ。必要なのは戦争ではなく軍縮運動だ。多くの青年は心配している。まだ全体が立ち上がるところまでいっていないけど、こうした行動が変化を作ると思う」=大学入学前のスミス・アンドリューさん(19)=
「イラクでは先の戦争以来、制裁や爆撃で五十万人の民間人が死んでいます。戦争はサダム(フセイン大統領)ではなく、一般国民を苦しめます。イラクの国民はどんな悪いことをしたのでしょうか。なぜ戦争の犠牲にならなければならないのでしょうか。テロリストと同じ暴力的な侵略をしているイスラエルのシャロン政権がなぜ非難されないのでしょうか」=イスラム教徒の若い女性=