日本共産党

2002年9月27日(金)「しんぶん赤旗」

NTT遠隔地配転は見せしめ

許せない 家族引き裂く違法リストラ


 通信産業労組の組合員二十二人は二十五日、札幌、東京、静岡、名古屋、福岡の各地方裁判所にNTT十一万人リストラの違法性と、見せしめの異職種・遠隔地配転の無効を訴え、いっせいに提訴しました。東京で提訴した労働者たちの実情や思いは―。

集団提訴 労働者の実情と思い

 NTT東日本、西日本はことし一月、五十歳以上(二〇〇一年度)の労働者全員に二者択一を迫りました。「NTTを退職し、外注子会社に基本賃金三割カットで再雇用される」、さもなければ「高度な技能を必要とする仕事につき、全国どこにでも転勤に応じよ」というものでした。

 五月から外注子会社が営業を始める一方、NTTに残った労働者にたいする遠距離配転が七月以降強行されています。

 この遠距離配転は、転籍強要を拒否すれば痛い目にあうという報復・見せしめの配転であると訴状は告発。来年五十一歳以上になる労働者を引き続き外注子会社に転籍させるためにも、業務上の理由からではさらさらない「見せしめ配転」であると命令の撤回を求めています。

80歳過ぎた親を残して

 吉田浩さん(55)は、NTT東日本福島支店・いわき営業所から、東京・芝浦にある同社サービス開発部に配転され、現在単身赴任中です。

 「福島の自宅から百メートルほどのところに住んでいる八十五歳の父と八十歳の母親のことが心配です。母は障害者四級で父親が介護していましたが、八月に父の大腸がんが見つかり入院しています。二十四日に手術したばかりです。だから一日も早く福島に戻してほしい」といいます。

 滋賀正雄さん(53)は、山形・酒田支店での零細企業を対象にした営業から、神奈川支店厚木の大企業相手の営業に配転されました。単身赴任です。

 「私はもともと、無線設備の技術者として三十数年間働いていたのに、酒田市から山形市への転勤を命じられ、八年間単身赴任を強いられました。単身赴任を解消するために営業職に変わり、酒田市にもどって、三年四カ月。またしても単身赴任。もうけのためにはなんでもするNTTの理不尽なやり方は許せません。八十を過ぎた母は、毎日泣いています」

往復4時間の長距離通勤

 飯野和子さん(52)は、群馬支店・高崎の事業所から、埼玉支店川越の事業所へ配転され、片道二時間、往復四時間の長時間通勤を強いられています。

 「夫と高校三年生の次女と中学一年生の二男と暮らしています。毎日朝食の支度をして、家族を残して、七時前に家を出ます。高崎駅近くの駐車場まで自家用車でいき、大宮まで新幹線に乗り、埼京線に乗り換えて川越で下車。さらにバスに乗継いで午前八時五十分に出勤します。毎日本当に疲れ切ってしまいます」と話します。

 自身も提訴団の一員の通信労組書記長の野形葵さん(58)はいいます。

 「三十七年間の電話交換機の保守の技能を生かせないのは悔しい。労働者の誇りを傷つけ、家族を引き裂く単身赴任や遠距離通勤を強いるNTTリストラを告発し、人間性を無視したリストラの横行に歯止めをかけたい」

 


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