2002年9月25日(水)「しんぶん赤旗」
石原葵食糧庁長官は二十四日の衆院農水委員会で、現行のWTO(世界貿易機関)協定下でも、「国内助成」枠の未使用分の余裕枠を使えば、六十キログラムあたり二万円のコメの価格保障も可能なことを認めました。日本共産党の松本善明議員の質問に答えたものです。
この中で石原長官は、同協定で約束した「国内助成」の削減率(二〇〇〇年までに20%削減)を考慮しても、まだ年間三兆九千七百二十九億円の農産物への「助成」枠があることを明らかにしました。
さらに、実際の「助成」は七千四百七十八億円(一九九九年実績)で、枠全体の18・8%にすぎず、残りの枠を使えば、同二万円の価格保障も可能で、それに必要な予算額は約六千億円であることも認めました。
松本議員は、コメ輸入も、EU(欧州連合)で認められている大分類方式で計算すれば、「穀物」ということで小麦などと合算し、削減・廃止することも可能と指摘。石原長官は、この指摘についても「理論上、可能だ」と認めました。
ところが、武部勤農水相は「外交交渉には継続性がある。価格保障はモラルハザードになる」などと答弁。松本議員は「価格保障と輸入米削減は、稲作農民の基本的な要求であり、WTO協定上、できることをすべてやってこそ、これからの交渉も迫力を持つ」と厳しく批判しました。