2002年9月21日(土)「しんぶん赤旗」
東京電力の新たな八件の原発損傷隠しとともに、中部電力と東北電力でも原発の損傷を隠していたことが二十日、相次いで明らかになりました。原発の不正は、業界全体に広がる可能性がでてきました。今回明らかになった損傷隠しは、いずれも原子炉冷却水の再循環系配管で、水漏れなどが起これば、冷却水喪失など重大な事故につながる部分です。
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中部電力は二十日、静岡県浜岡町の浜岡原発1号機と3号機で過去の定期検査の時に再循環系配管でひび割れが見つかっていたのに国などに報告していなかったことを明らかにしました。ひび割れは両機合わせて九カ所あり、このうち五カ所は取り換えたり処置済みで、残りの四カ所は未処置だといいます。
中部電力によると、3号機では一九九五年に実施した定期検査で再循環系配管の溶接部付近二カ所にひび割れが見つかりました。さらに、九六年、九九年、二〇〇〇年の定期検査でもひび割れが見つかり、3号機では合計八カ所のひび割れが確認されていたとしています。
また1号機では二〇〇〇年から二〇〇一年にかけて実施した定期検査で一カ所ひび割れが見つかっていました。
3号機と1号機では、処置していないひび割れが残ったままになっています。
浜岡原発では、四機ある原子炉のうち1、2号機が事故で、4号機が定期検査で運転を停止中。残りの3号機も停止することになり、全機が運転を取りやめる事態となりました。
東北電力は二十日、女川(おながわ)原発1号機(宮城県女川、牡鹿両町、沸騰水型)の原子炉再循環系の配管で、十一カ所のひび割れの兆候が見つかりながら国に報告していなかったと発表しました。
東北電力によると、一九九八年の定期検査時に、超音波による自主点検を実施したところ、配管の二つの溶接部分でひび割れの兆候が見つかっていました。また二〇〇一年の点検でも別の二つの溶接部分で兆候が見つかりました。兆候は四部位で計十一カ所に上っています。
女川原発1号機は九月八日から定期検査に入っており、運転を停止中。今後、十月下旬から配管を取り外したり、内側からロボットなどを使って詳細に検査するとしています。
東京電力は二十日、原発八基の再循環系配管にひび割れやひび割れの兆候があったにもかかわらず、国に報告せずに交換するなどしていたと発表しました。
東電によると、一九九三年から今年一月までの間、福島県の福島第一原発1―5号機、同第二原発3号機、新潟県の柏崎刈羽原発1、2号機の計八基でいずれも再循環系配管の溶接部に、各二―十二カ所のひび割れやその兆候が発見されていました。
これらひび割れや兆候は、検査の委託を受けた日立製作所と東芝が発見。二社はひび割れの事実を東電に報告したといいます。