日本共産党

2002年9月20日(金)「しんぶん赤旗」

国立大法人化

広がる反対・対案づくり

全大教教職員研究集会から


 「『知の拠点』としての大学の課題と展望」をテーマに、全国大学高専教職員組合(全大教)第十四回教職員研究集会が九月六日〜八日に岡山大学で開かれ、六十七大学・高専から二百五十五人の教職員らが参加しました。

 文科省による国立大学法人化や再編・統合に反対し、「知の拠点」としての大学をどう構築するか、「かつてない大学試練」に大学人がどう立ち向かうかなど、真剣な議論がかわされました。

社会に開かれた大学へ

 集会では、林大樹教文部長が基調報告を行い、これまでの大学改革をふり返って「大学人の目が向いている方向が政府や文科省であった」と指摘し、「『知の拠点』として存在たりうるために…社会との関係を再構築すること」を、大学の今日的使命としたことは注目されました。

 分科会討論は、各地で取り組まれている「『大学の構造改革の方針』の見直しと大学・高等教育の充実を求める百万人国会請願署名」について、「入学式での署名に中学生と母親が『授業料があがるの?』と心配していたことに心を動かされ、『独法化でどうなる?』の署名付ビラを作成して全戸配布を行ったところ、千二百五十筆が市民からよせられた」(室蘭工大)との経験が紹介され、感動をよびました。

 大学の再編・統合をめぐっても、教員養成系大学・学部の存続を求める地域からの要求と運動が全国にひろがり、文科省が部分的に方針を修正せざるをえなくなったことが、討論で明らかにされました。

 また、法人化への対案作成で、「『社会』の意見が大学の組織運営に反映されるということは、教育研究の一層の深化・発展と学問の自由・大学の自治の発展を促す契機になる」(名古屋大学)との報告や、「大学は公的機関であり、独法化に反対して運動することと、国民に直接責任をおう教育・研究について制度設計を社会に示すことは、表裏一体のものであり、大学人はこの二つを組み合わせて取り組むべきだ」(福島大学)との意見がだされ、共感をあつめました。

大きい教職組の役割

 基調報告は、仮に法人化された場合に大学運営の全般が労使交渉の対象となることから「教職員組合の役割は、これまでと比較にならないほど大きい」として、「労働者の過半数を組織する」ことの重要性を強調しています。

 討論では、教職員の間で法人化による身分の不安定化への不安がひろがり、組合への期待、関心がかつてなく高まっていることが示されました。東京大学職組のアンケートでは、組合への要求として「独法化による不安の除去」を四割が求め、鹿児島大学職組のアンケートでは、「組合に入りたい」という答えが非常に多いことなどが紹介され、この間に一千人を超える新しい組合員が全国でうまれたことが報告されました。

 閉会集会では、森田書記長が秋闘期の課題を報告し、(1)この間の地域からの変化をいかし、百万人国会請願署名を大きくひろげる、(2)法人化に対する対案を各大学で示し、学内合意をひろげる、(3)全教職員の過半数を組合員に獲得する、(4)文科省の「大学の構造改革方針」の見直しを求める国会議員要請を、全国統一行動として秋にとりくむことなどを提起しました。

 


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