日本共産党

2002年9月18日(水)「しんぶん赤旗」

米政権の対イラク戦争熱中

内政――経済問題

中間選挙と石油利権にらむ


 【ワシントン16日坂口明】米上院公聴会でどの専門家もイラク・フセイン政権は“米国の差し迫った脅威ではない”と証言したにもかかわらず、ブッシュ大統領は「平和への脅威」(国連演説)だと断定し、戦争不可避の空気をあおっています。この恣意(しい)的な戦争フィーバー(熱狂)の影には、七週間後に迫った中間選挙での与党・共和党の党派的利益と石油利権がギラギラとしています。

米国内の論調にみる

 「なぜ今、イラク戦争か?」―野党・民主党議員らから疑問が沸き起こっています。「対イラク戦争が唐突に緊急課題となったことは、企業スキャンダルの記事や、共和党が上院で多数を再獲得する見込みの低下と、ぴったり一致している。これに気付かないのは難しい」―ジョーダン同党上院選挙対策委員会責任者は米紙に語っています。

共和党の計算

 一カ月前に共和党が作成した中間選挙運動用資料は、対テロ戦争を成果に挙げていませんでした。経済の先行きに国民の不安が高まるもと、教育や企業責任など内政問題が主要争点だとの立場を同党もとっていたのです。

 ところが、ブッシュ大統領の支持率低下が顕在化した八月後半から、フセイン政権の危険性をあおり対イラク戦争が必至だとする宣伝が急速に展開されてきました。これが、内政問題では選挙に勝てないと踏んだ与党の計算と深く結び付いていることは明らかです。

 対イラク戦争はまた、経済問題と深い関係をもっています。

 サウジアラビアに次ぎ世界第二の石油埋蔵量を有するイラク。対イラク戦争の可能性を前に今、世界の原油価格(スポット)は一バレル当たり約三十ドルに上昇しています。開戦の可能性をめぐる不安が続き、開戦後も戦争が長期化すれば、石油価格はさらに高騰し、不況を加速化させます。

政権打倒後に

 他方でフセイン政権打倒後に親米欧政権が据えつけられ、同国石油への米欧資本の支配が強まれば、石油価格は安定化すると想定されています。

 タカ派的主張で知られる経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル十六日付社説は、「安い石油を確保するために戦争すべきだと言うのではない」と釈明しつつ、「石油価格安定化の最良の道は、対イラク戦争が早く始まり、それが短期に首尾よく終結することだ」と述べています。

 


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