2002年9月18日(水)「しんぶん赤旗」
「残念で、あまりにも残酷で言葉にもならない」「いつどうやって死んだのかはっきりさせてほしい」――。十七日、生死が確認された、拉致被害者の家族たちは国会の衆院第一議員会館で記者会見し、口々に無念の思いと怒りを語りました。
死亡とされた横田めぐみさんの父親の滋さん(69)は「いい結果を楽しみにしていたが、死亡という…」と声を詰まらせ、「信じることができない。どういうかたちで結婚し、死亡したのかを正確に調べてもらいたい」と声をふりしぼるように話しました。
一九九〇年十二月に公開に踏み切った有本恵子さんの父親の明弘さん(74)は、「死亡」の知らせにたいし、「十二年間、外務省はどう対応してきたのか。政府はどう対処してくれるのか」と思いをぶつけました。母親の嘉代子さん(76)は「残念で涙も出なかった。どういう死にかたをしたのかだけは確認したい」。
嘉代子さんの肩に手を置き、いたわっていた横田めぐみさんの母親、早紀江さん(66)は「いつ死んだか分からないのに信じることはできません」と強い口調。「めぐみは政治の大きな問題を暴露した。日本にも北朝鮮にも大事なこと。そのためにめぐみは使命を果たし、犠牲になった」と一気に話しました。
死亡していた増元るみ子さんの姉、平野フミ子さんは涙ながらに呼びかけました。
「鹿児島の父ちゃん母ちゃん、信じることができないからね。気を確かにもって頑張って…」。
生存が確認された奥土祐木子さんの父親の一男さん(75)は「涙の会見になるなんて想像しなかった。十一人、全員の生存を望んでいた。二十四年の歳月。もう十年早かったら…複雑な思いです。喜んでいるわけにはいかない。実際に会って暮らしを見て安心できる。涙の会見になって言葉にならない」とうつむきました。
息子の地村保志さんが生存していて、三人の子どもがいる、と知らされた父親の保さんは「十一人の家族は身内と思って信頼してきた。死亡の確認が生存より多い。うれしいことはない」と複雑な思い。同じく生存が確認された蓮池薫さんの兄、透さんも「地獄のような残酷な審判だ」とうめくように語りました。