2002年9月13日(金)「しんぶん赤旗」
原子力発電所の損傷隠し、虚偽報告が問題になっている東京電力をはじめ全国九電力の役員二百三十二人が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、昨年一年間に約三千五百万円の献金をしていたことが、本紙の調べでわかりました。個人献金の形ですが、金額が役員でランク付けになっているなど、きわめて組織的で、事実上の企業献金の色合いが濃いものです。
二〇〇一年の政治資金収支報告書によると、各電力会社ごとの献金をしていた役員数と献金額は別表のとおり。業界一位、三位の東京電力、中部電力が各五百十六万円などで、九社の献金総額は三千四百七十五万七千円にのぼります。
各電力会社に共通しているのは、会長、社長、副社長、常務、取締役と献金額に役職によってランク付けがあること。北陸電力の社長の三十三万六千円など一部を除いて、会長、社長が各三十万円、副社長二十四万円、常務十二万円などと、各社ほぼ横並びになっています。
原発事故の損傷隠しに関与した東京電力の榎本聡明副社長(原子力本部長)は、前年同様、十二万円の献金をしていました。
電力業界は、石油ショック時の料金大幅引き上げを機に「公益事業者として特定政党に献金するのは問題だ」との批判が高まり、一九七四年以降、企業としての政治献金をやめてきました。
一方、東京電力、東北電力は、自民党の佐藤剛男衆院議員(福島一区)にたいし、計三百七十万円のパーティー券を購入していました。
佐藤議員の資金管理団体「福活21」の政治資金収支報告書によると、「福活21・政経セミナー」「飛躍を期待する集い」の二回の資金集めパーティーで、東京電力がそれぞれ百十万円、六十万円、東北電力が各百万円。
佐藤議員は、電力業界の監督官庁である旧通産省OBで当選三回。現在、自民党の法務部会長を務めています。
自民党の近藤剛参院議員(比例区)の資金管理団体「政治経済研究所21」も、東電の役員、ОB計約五十人から計約二百万円の献金を受け取っていました。
同議員は、伊藤忠常務、経済同友会幹事などを歴任、昨年の参院選では財界代表として立候補、初当選しました。
東京電力 | 34人 | 516万円 |
中部電力 | 37人 | 516万円 |
関西電力 | 34人 | 430万円 |
中国電力 | 21人 | 311.5万円 |
北陸電力 | 18人 | 297.2万円 |
東北電力 | 24人 | 448万円 |
四国電力 | 24人 | 347万円 |
九州電力 | 19人 | 284万円 |
北海道電力 | 21人 | 326万円 |