2002年9月8日(日)「しんぶん赤旗」
原子力発電所の損傷を隠ぺい、虚偽報告をしていた東京電力の荒木浩会長ら役員二十人が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、二〇〇〇年の一年だけで三百万円を超す献金をしていたことが、本紙の調べでわかりました。東電は、原子力本部副本部長、副社長などを務めた加納時男氏を企業ぐるみ選挙で、自民党参院議員に当選させており、「公益企業」と自民党との癒着があらためて問題になっています。
二〇〇〇年分の政治資金収支報告書によると、献金していたのは、荒木会長はじめ計二十人。平岩外四相談役、荒木会長、南直哉社長が各三十万円で、三人の副社長が二十四万円、損傷隠しに関与した榎本聰明副社長(原子力本部長)ら副社長二人と常務三人が十二万円、取締役など七人が十万円などとなっており、総額三百二十三万円にのぼります。
電力業界は、石油ショック時の料金大幅引き上げを機に公益事業者として特定政党に献金するのは問題だ、との批判が高まり、一九七四年以降、企業としての政治献金をやめてきました。しかし、東電役員による献金は、三十万円、二十四万円などと金額のランク付けがあり、献金した役員が全役員の約三分の二を占めているなど、事実上、企業ぐるみの色が濃いものです。
東電は、荒木会長(日本経団連副会長)が、財界が政治への影響力を強めるために九六年に発足させた「企業人政治フォーラム」の会長であるとともに、経団連の政治・企業委員会委員長で、自民党政治を裏側から支えてきました。九八年の参院選では、「経済界の声を直接国会に」と同社副社長の加納時男氏を、自民党比例区候補として送りこみ、電力業界のぐるみ選挙で当選させました。
加納氏は当選後、自民党の参院副幹事長、エネルギー政策小委員会事務局長などを務めました。現在、文部科学政務官です。