2002年9月8日(日)「しんぶん赤旗」
鳩山由紀夫代表の任期満了に伴う民主党代表選(二十三日投票)があす(九日)告示されます。“若手”の一本化や中野寛成副代表の出馬とりやめなどで、鳩山代表、菅直人幹事長、横路孝弘前副代表、野田佳彦衆院議員の四人の候補者にしぼられてきました。各氏とも「政権交代」の必要性を強調していますが、自民党政治との違いはどこにあるのか――。五日、都内で市民団体が主催した公開質問会での各氏の主張をみました。
経済政策では、小泉内閣が「構造改革」の柱としてすすめる「不良債権の早期最終処理」をいっそう徹底させるべきだという主張がほとんどです。菅氏が「(金融機関に対し)徹底した査定をし、不良債権は競争入札で売り、穴は公的資金で埋めるべきだ」とのべると、野田氏も「不良債権の処理を早急に抜本的に行い、公的資金の再注入は避けられない」と主張しました。
小泉内閣の「不良債権の早期最終処理」方針は、失業と倒産の増大、景気悪化をもたらしています。しかし、鳩山氏は「不良債権の処理を真っ先に行うことで、中小企業を活性化させていくことができる」、野田氏は「不良債権の処理がすすまず、財政再建もやる気がない。ここへの信任がないと、経済は回復しない」と、処理がまだ“不十分だ”という立場です。
小泉首相のすすめる規制緩和や公的部門の民営化政策については、「中途半端で遅すぎる」(野田氏)、「まずできることをやらないで、もっと大きなことをやるという小泉首相を信用しない」(菅氏)と、スピードを競う立場が目立ちました。
一方、憲法問題や安全保障問題では突出した発言が目立ちました。鳩山氏は、「憲法改正の議論を大いに発議して議論していきたい」と発言。戦力不保持と交戦権の否認を規定した憲法九条が国際貢献への制約となっているとして、「日本の果たすべき役割を明示すべきだ」と主張しました。
鳩山氏は、出馬宣言で「まずは緊急事態法制の整備を早急に行いたい」と有事法制について党内のとりまとめを急ぐ意向を表明。「従えないというメンバーは、後は、党を去ってもらうだけのことだ」としています。
このほか、「憲法は変えられるような日本でなければならない」(菅氏)、「新しい憲法を制定すべきだ」「九条に自衛隊を戦力として明記すべきだ」(野田氏)など、改憲志向の発言が相次ぎました。一方、横路氏は「憲法の規定を具体化する努力をすべきだ」とのべました。
野田氏は、米国が海外での共同作戦をにらんで日本に要求している集団的自衛権の行使については、「(日本は)解釈改憲で集団的自衛権は行使できる」とのべました。
また、米国によるイラクへの攻撃が懸念されていることについて、「新たな国連決議もない一方的な攻撃には賛成できないと(日本は)事前にブッシュ政権に伝えるべきだ」(菅氏)などとして、四氏とも米国によるイラク攻撃を支持しないことを表明しました。