2002年8月24日(土)「しんぶん赤旗」
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全日本検数協会神戸支部が昨年四月から賃金50%カット、一時金ゼロという大幅な労働条件切り下げを強行したのは不当として、全日検神戸支部労組の組合員ら百六十六人がカット分の賃金支払いを求めていた裁判で神戸地裁(上田昭典裁判長)は二十三日、協会にカット分の支払いと今後はカットせず全額支払うよう命じた原告全面勝利の判決を出しました。
全日本検数協会(社団法人)は、輸出入貨物の数量や損傷などをチェックする公的機関。経営側は、不況や阪神・淡路大震災、規制緩和による取扱量の落ちこみなどから収入が大幅に減ったことを理由に、全国十支部のうち神戸支部だけ賃金50%カットを強行しました。勤続三十一年の労働者が手取り約十一万円になるなどの賃金ダウンのため、子どもの進学をあきらめさせたり、生命保険解約など深刻な生活苦が労働者を襲いました。
判決は、「全国単一の事業体であることからすれば、神戸支部の赤字への対応は、被告(協会)を挙げての取り組みが必要」で「神戸支部の従業員のみに負担させるのは酷」とし、賃金50%カットについて「生活実態を考慮した合理性を有するものとは認めがたい」「原告らに大きな不利益のみを与えるもの」と厳しく批判しています。
記者会見した荒井学・全日検神戸支部労組委員長は、「昨年四月に提訴してから一年四カ月、組合員と家族が苦労してきた日々でした。不当なやり方に絶対に負けないとがんばってきたが、本当にうれしい」と喜びを語りました。