日本共産党

2002年8月21日(水)「しんぶん赤旗」

無法リストラ

富士通は社会的責任果たせ

長野の2工場

日本共産党のビラを回し読み


写真
「富士通は全従業員の不安や要望にこたえる責任があります」と労働者を激励する日本共産党長野県委員会リストラ対策本部のメンバー=19日午前7時すぎ、長野市

 長野県で従業員全員を対象に早期退職を募集し、不安を広げているコンピューターメーカー、富士通。県知事選挙のさなか、日本共産党長野県委員会は門前宣伝で労働者を激励し、「富士通は社会的責任を果たせ」「無法なリストラから雇用と地域経済を守ろう」と全力をあげています。

 今回のリストラは、長野工場(長野市)の全従業員二千人と、須坂工場(須坂市)の一千二百人が対象。一昨年四月以来、遠方への転勤や応援派遣、子会社への転籍や出向にも応じてきたにもかかわらず、七月にいきなりわずか一カ月足らずの八月九日までに希望退職か、関連会社や派遣会社への転籍かの選択を迫る「抜き打ちの首切り」です。

 労働者と家族の間に不安が広がりました。

 職場では「どうしようか」と顔をつき合わせたり、仕事が手につかない状態。「もうやってられない」とラインから離れる労働者も―。

 これに対し、党県委員会は計画発表直後ただちに「富士通リストラ対策本部」を設置し、宣伝や富士通本社への要請をくり広げました。

 盆休みが明けた十九日朝、対策本部の中野さなえ本部長らメンバーが長野、須坂両工場門前で宣伝しました。小雨のなかの訴えに会釈をしてビラをもらおうと手を差し出す労働者の列。

 長野工場では午前七時から一時間余で一千二百枚のビラが受けとられ、会社側が門前に出したくずかごには一枚も捨てられませんでした。

 午前五時半すぎから実施した須坂工場の宣伝でも、労働者が「こんなに早くからどうもありがとう」と感謝の声を寄せました。

 ビラは門前でこの間、計四回、約一万枚を配布しました。交代勤務で受けとれなかった労働者が回し読みしたり、休憩室に置かれたり、大きな反響を呼びました。家に持って帰り、家族に見せる労働者もいます。

 ビラを熱心に読んでいた二十代の青年労働者は話しました。「いい仕事をしたいと入った富士通にはがっかりした。書いてある通り、会社に社会的責任をとらせたい」


市長、市議会、商工会議所

「工場存続」を求める

長野・須坂市

 富士通の大リストラに長野県内から批判の声がわきあがり、行政も対応にのりだしています。

須坂市など相談室を設置

 須坂市は七月下旬、富士通関連緊急相談室を設置。高山村でも相談窓口を開設し、富士通に勤務している市民や村民の相談に応じています。

 須坂市では、保守系市議から「この問題では共産党がよくやっている。いっしょにでも何かやるべきではないか」との声もあがっています。

 二十一日には、須坂市長、市議会議長、同経済文教委員会正副委員長、商工会議所会頭らが富士通本社へ出向き、須坂工場の存続を求める要望書を秋草直之社長に提出することにしています。

 これに先立ち二十日、市議会の全会派代表者会議を開催。日本共産党市議が、岩手県で三年前、外資系電機メーカーのフィリップス社が釜石工場を閉鎖したさい、「最後の一人まで会社に面倒を見させた」という経験を紹介。「市として富士通の責任を果たさせる必要があるのではないか」とのべると賛同が広がり、(1)企業の社会的責任を果たす(2)退職せざるを得なかった従業員の今後の雇用についても、最後の一人まで責任を持つ―などを口頭で申し入れることを確認しました。

「危機」とは無縁
リストラ攻撃

 富士通は一昨年以降、二万人を超える人員削減を強行してきました。さらに今回のリストラで会社は経常赤字を主張していますが、早期退職などにあてる特別退職金加算金や工場・営業所などの統廃合のコストなどリストラ費用を計上した“つくられた赤字”が実態。まとめて赤字を計上したうえで黒字へと「V字回復」をめざしています。ため込み利益(内部留保)は一兆一千八百七億円(二〇〇一年三月期)あり、「企業危機」とは無縁です。

 長野工場などの「希望退職募集」のやり方は、実に用意周到です。労働者の面接では、広島の自動車メーカーのマツダや京都のOA機器製造の村田機械で活用されたリストラ支援コンサルタント会社「日本DBM」が作成にかかわった退職強要マニュアル(手引)も採用しました。

 全ページに「極秘/コピー厳禁」の文字が刻まれた「部長(面談者)の心得」と題したマニュアルは、従業員を「A・残留者」「B・本人選択」「C・退職候補者」の三ランクに選別し、退職候補者を退職させるための手口を指南しています。

党のビラを熟読
対応する労働者

 党対策本部のビラは、「冷静に考えよう。家族と生活を」と「個別面談十の心得」を掲載。“共産党嫌いで有名”だったという労働者は「ビラを何度も復唱して面接にのぞんだ」。嫌がらせをやられている労働者の母親は「息子には『いやなことは、辞めませんとはっきりいうことだ』といっています。おかげでこのごろは会社に『はっきり』いえるようになりました」と話しました。

 党対策本部はまた、労働者から切実な要求が寄せられたことから、(1)長野、須坂での仕事を確保してほしい(2)奨学金一括返済への一時立て替えと低利のローン返済への支援をしてほしい(3)単身赴任者への家族手当の増額を―などの声に富士通が誠意をもってこたえるべきだと訴えています。

 


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