2002年8月16日(金)「しんぶん赤旗」
特殊法人「改革」の名のもとに、奨学金を貸与している日本育英会の廃止と独立行政法人化を閣議決定(昨年十二月)した小泉内閣。独法化されれば、銀行ローンのように利子が高くなるおそれもあります。育英会労組をはじめ学生、教育関係者らでつくる「日本育英会の奨学金制度廃止に反対し、拡充を求める各界連絡会議」がとりくんでいる反対署名は四十万人、四千団体を超えました。各界連によせられた親たちの声を紹介します。
○わが家の長女は現在薬学部に在学中です。学費が高く覚悟はしていましたものの、この不況下にいつまで続くか不安です。私の心には育英会に最後はお願いしようという心づもりがありました。今年合格した知人の母子家庭の子どもは、薬学部に合格しながらも学費を払い続けることができないとの理由で、断念しました。経済的理由で入学できないことは、親として子どもに申し訳なく、子どもにとっては血のにじむような努力の末の合格が涙と消えるのです。ぜひ存続し、発展させてください。(東京都品川区)
○必要のないところにお金を使い、国家の未来がかかっている教育にお金をかけないという国の方針は間違っているどころか、いまに大きなしっぺ返しがきます。国のあしなが基金をなくさないようがんばってください。(東京都杉並区)
○わが家は(育英会に)二人お世話になりました。利息なし、返還なしだともっと助かりますね。(川崎市)
○この不況下で自宅を売り払い、子どもにだけは、ちゃんとした教育をと思っています。一番上の子は育英資金で大学に通っております。未来のためにこれだけは残してください。(千葉市)
○母子家庭のわが家は大変ですが、すべて奨学金のおかげと思っておりましたので、今回の国のやり方、小泉さん(首相)の考え方にくやしくてなりません。年寄りの母の医療費値上げ、介護保険のもろもろの不満につましく暮らす者のこと、どう考えているのかと。(東京都杉並区)
○娘が高校三年のときに一家の大黒柱である私がひどい糖尿病で半年くらい働けなくなり、授業料も払えない状態になったとき、育英資金を頂き、最大のピンチを脱し、大いに助けられた経験があります。ぜひ存続されるよう切望します。(東京都北区)
○これからの日本を背負う若者から学ぶチャンスを奪うことは国家百年の不作になることは間違いありません。何としても「育英会廃止」を撤回させなければならないと思います。(埼玉県所沢市)
○わが家も三人の子どもたちがこれから高等教育に入っていきます。家計にどのくらいひびいてきているか実感しています。育英会の廃止は大きな問題で、教育費をどこからもってきたらいいのか考えてしまいます。(埼玉県所沢市)
○こういう時代だからこそ必要なはずの育英会をなぜ廃止なのか? 理解できません。(埼玉県所沢市)
○娘は私立大学へ無事入学することができました。高校三年から育英会の「きぼう21プラン奨学生」を申し込み、採用されたことが大きな自信となり、合格したのだと思います。小泉首相は何を考えているのか分かりませんが、私たち貧乏人が大学へ行くことは大変なことです。勉強する権利をだれが奪うことができるのでしょう。(埼玉県新座市)