日本共産党

2002年8月14日(水)「しんぶん赤旗」

ハム・ソーセージ組合

偽装肉の返却で幹部に食い違い

「会議に諮った」「覚えない」


 牛肉買い取り事業の窓口となった業界団体日本ハム・ソーセージ工業協同組合に対する農水省の立ち入り調査は、同組合が日本ハム側の牛肉偽装隠しに加担した疑惑の解明のためです。同社の大社義規会長が理事長を務める同組合は、偽装肉が含まれた買い取り申請済みの肉を日本ハム側に返却、焼却まで指示したとされます。しかし、組合内の複数の副理事長は返却決定について関知していないと証言しています。

 同組合の石浜克夫専務理事によると、今年二月、雪印食品事件を受けた同省の指示で、各メーカーが買い取り申請済み肉の自主検査を実施。日本ハムなど九社から「消費期限切れ肉などがあったので申請を取り下げてほしい」との要望が組合にありました。

 組合は四月十九日の正副理事長会議で、出席した副理事長五人が合議の上、九社の要望を受けて申請を取り下げ、各社に肉を返却すると決定。農水省側は制止しましたが、組合は七月十二日、日本ハムに返却を通知。併せて「消費期限切れ肉が市場に出回るとまずいので焼却してほしい」と要請したとされます。同社は牛肉一・三トンを同十八、十九の両日に焼却しました。

 石浜専務理事は「国の補助事業の関連は、正副理事長会議で決めるのが組合の慣例。会議での意思決定に基づき、事務局の判断で焼却を要請した。結果的に隠ぺいととられる形になって残念」と話しています。

 しかし、副理事長の一人である信州ハムの久保忠夫会長は「議題は決算が中心で、返却の話になった覚えはない。議題を決めるには理事会に諮って承認を得る必要があるが、それも行われていない」と指摘。伊藤ハムの伊藤研一社長も「正副理事長会議で返却の話は出ていない」としています。

組合に立ち入り

 農水省は十三日午前、日本ハムの牛肉偽装問題に関連し、業界団体の日本ハム・ソーセージ工業協同組合を立ち入り調査しました。同組合は農水省の指示を無視し、日本ハムに問題の肉を焼却させたため、証拠隠滅の疑いが持たれています。


滝沢ハムが 1トン多く申請

牛肉買い上げ

 滝沢ハム(本社・栃木県栃木市)は十三日、国のBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)対策の牛肉買い上げ事業に応じた際、約一トン分を余計に申請していたと発表しました。このうち約半分は、コンピューターへの入力の誤りによる二重計上、残りは、計量ミスと品質保持期限が切れた肉の混入だとしています。

 同社は、約百三十六トンの買い上げを日本ハム・ソーセージ工業協同組合に申請していました。まだ代金を全額受け取っていないため、最終清算の際に差額を調整する予定だといいます。滝沢ハムは「偽装などの(不正)行為は一切行っていない」(長安正管理本部長)としています。


松阪牛と偽り販売セントラルフーズ

 東急ストアは十三日、同社さぎ沼店(川崎市)にテナントとして出店している食肉製造販売会社のセントラルフーズ(本社東京)が、別の産地の牛肉約四キロを最高級ブランドの松阪牛として販売していたと発表しました。

 偽装したのは七月一日から八月五日までの間に販売した合計二十六パック。ギフト向けの需要期で松阪牛に足りない部位が出たため、テナントの売り場責任者らの判断で、セントラルフーズの米沢産自社ブランド「手ノ子牛」を松阪牛と偽表示。その上、松阪牛相場の一パック(約百五十グラム)約四千二百円で売っていました。

 手ノ子牛は松阪牛と同じランクの最高級品ですが価格は約三割安い。セントラルフーズは東急百貨店の全額出資子会社。

 


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