2002年8月6日(火)「しんぶん赤旗」
原水爆禁止世界大会・広島は五日、十一の分科会にわかれて、熱心に討論しました。
各地の核兵器廃絶と有事法制反対のとりくみに聞き入る参加者=5日、広島市の産業技術交流センター |
「核兵器廃絶、核兵器使用を許すな――米核戦略と日本、運動の課題」をテーマに開かれた分科会では、ブッシュ米政権の核政策の危険性がだされ、「核戦争を許さない運動を」「日本を核戦争の出撃基地にさせない」と、草の根の運動をさらにすすめる決意が次々にだされました。
問題提起をおこなった神奈川原水協の永沢丈夫事務局長は、同県の米軍の動きに即しながら、日本が米国の先制攻撃戦略の最前線基地となっており、日本国民の運動の前進が世界の反核・平和運動を発展させるための国際的責務となっている点を強調しました。
国際問題研究家の新原昭治氏は、ブッシュ米政権の「核使用計画」の特徴点をあげ、「本気で核兵器を使用しようとしており、大きな警告が必要となっている」と指摘。同時に、核兵器を使おうとしている勢力が一番恐れているのは世論であると強調し、核使用計画を許さず、核兵器廃絶を求める世論をつくりだそうと呼びかけました。
五人の海外代表が米国やインド、パキスタン間の危険な動きなどを発言。討論では「初めて市長が平和行進のあいさつに来た。地道な運動の成果」(東京・清瀬市)、「有事法制や非核三原則見直し発言を契機に平和行進でも大きな反響があった」(鳥取)などの発言がありました。
「テロ・報復戦争反対。有事法制・憲法改悪反対。基地・軍事同盟をなくそう」の分科会は三会場で行われ、産業技術交流センターには二百人近い参加者でいっぱい。大会実行委員会の佐藤光雄氏の問題提起と「二〇〇二年世界大会国際会議宣言」を受け、活発に討論しました。
米軍基地がある岩国や横須賀などからの参加者は、有事法制の動きと合わせ「基地が先制攻撃の最前線基地」として機能強化されていることを告発。「県民ぐるみ、超党派のたたかいを広げ、基地撤去、有事法制廃案までがんばる」とのべました。
兵庫・尼崎市の参加者は「有事法制反対では連合労組も呼びかけ団体に入って三回、共同の集会を開いた」と報告。
神奈川・藤沢市の参加者は「共産党や社民党の議員、市民団体も参加して千七百人の集会を開き、評判になった」とのべ、有事法制反対の草の根運動を強調しました。
京都市の参加者は、宗教者の間でのテロ・報復戦争、有事法制反対の運動の広がりを報告。「テロも報復戦争も反対の張り紙をして、拝観料を無料にした寺院もあった」と紹介しました。京都の立命館大の学生は、一回生を中心に有事法制反対の立命ネットワークを立ち上げて署名や学習会、集会など実施しているとのべ、「臨時国会で廃案にしたい」と表明しました。
「被爆者・世界の核被害者とともに」の分科会は、六カ国・地域の海外代表を含む五百五十人が参加。いすが足りず、床に座って聞く人であふれました。
六歳のとき広島で被爆した嘉屋重順子さん、十二歳で被爆し、韓国に住む崔日出(チェ・イルチュル)さんらが体験を証言。チェさんは、「日本政府に土地を取り上げられたり、強制連行されて日本にきて被爆したのに、日本に渡らなくては援助措置をうけられない。在外被爆者に日本と同様の援助を適用してほしい」と訴えました。
初めて大会に参加した被爆者が体験を語りました。京都に住む被爆者は「幼い妹は、直後に死にました。あめあめ ふれふれ かあたんのー、という声が、忘れられない」と語りました。「つらい体験を語ってくれてありがとう。子どもや多くの人に伝えていきたい」と発言した三人の子をもつ母親もいました。世界各地の核兵器開発にともなう被害の実情や、十分な手を差し伸べない各国政府の態度が報告され、「核兵器の使用を許さず、廃絶しよう」の決意がだされました。
山梨県から大会に初めて参加した看護師志望の早川真世さん(18)と平山綾蘭さん(19)は、「自分だったらどうだろうと思うと、たまりません」(早川さん)、「『被爆者は、憎しみではなく、日本と世界の平和を願っている』というお話に、感動しました」(平山さん)と話していました。