2002年7月27日(土)「しんぶん赤旗」
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東京都内で開かれていた全労連(全国労働組合総連合)の第二十回定期大会は二十六日、三日間の討論を終え、「二〇〇二年〜二〇〇三年度運動方針」などすべての議案を採択。新役員を選出して閉幕しました。
大会の討論では、埼玉の代議員は、結成当時八万六千人でスタートした組織人員が一・五倍強の十三万一千人を超え、最高の峰を築いたと紹介。会場から驚きの声があがりました。「すべての労働者を視野に入れて運動しよう」と埼労連加盟のすべての労働組合が春と秋にいっせいの組織拡大月間をとりくみ、未組織労働者への宣伝や労働相談など旺盛な活動を積み重ねてきた地域労連の奮闘が前進させる力になったと報告しました。
「リストラ・解雇とのたたかいは、人間の尊厳を守るたたかい」と切り出した栃木の代議員。主要大企業の工場が集積する同県で、毎週一回の労働相談を二年間で県内全世帯数に匹敵する数十万枚のビラを配布し、当日には宣伝カーをくまなく回し、これを通じて地域労組に三百人を迎えたと発言。大手スーパーの閉鎖で、県労連に対策会議を設置してパート労働者からの相談の窓口を開くと、スーパー側が「パートにも雇用保険が適用されるようにしたので、県労連には相談しないでほしい」と要求が前進したと語りました。
全労連青年部の代表は「自立しようとすれば、一日二食、休日は外出しないという最低賃金生活を余儀なくされる」とフリーター青年の劣悪な労働実態を語り、青年労働者の結集と組織化をすすめると訴えました。
自民・公明・保守の与党三党の医療改悪法案の採決強行に抗議する特別決議を採択しました。
大会で選出された役員は次の通りです。(敬称略、五十音順、新以外は再任です)
▽議長=熊谷金道(くまがい・かねみち、新)▽副議長=生熊茂実(新)、岩佐敏明、大木寿(新)、駒場忠親(新)、田中千恵子(新)、中山伸(新)、西川征矢▽事務局長=坂内三夫▽事務局次長=岩田幸雄、国分武
二十六日に閉幕した全労連大会の終了後、熊谷金道新議長はじめ新役員が記者会見し、抱負をのべました。
熊谷氏は「労働者、労働組合のナショナルセンターという原点に立ち、きわめて深刻な労働者の雇用をはじめとする諸問題をどう社会的な問題、国政上の問題としていくのか、という点に力を入れたい。そのためにも職場組織の活性化と全国的な力の集中による目にみえる運動を重視したい」と抱負を語りました。
また質問に答えて、無法なリストラや三百七十五万人もの完全失業者と労働者がかつてない困難な状況に置かれているもとで、労働者の状態悪化を打開していくために、全労連の主体的力量を強化し、全労連の運動が未加入の労働者や未組織労働者にとって魅力のある存在になるように攻勢的にうって出てわき立つような運動をつくっていきたい、と表明しました。
熊谷新議長の略歴
一九六五年 札幌通産局入局、八二年 国公労連書記長、八九年 全労連事務局長、九九年 全労連副議長、二〇〇二年七月 全労連五代目議長。北海道出身。55歳。
全労連大会は、当面する夏から秋にかけての闘争方針を確認しました。
有事法制を許さないたたかいでは、悪法阻止の確かな保証は小泉内閣を退陣させ、国会をただちに解散に追い込むことだとして、全国各地から波状的な宣伝・署名・対話と共同をくり広げ、悪法阻止・国会解散を求める国民世論を喚起するとのべています。消費税率引き上げなど大増税反対のたたかいを、悪法阻止と結合し、秋からの国民的闘争の一つとして発展させるとしています。
公務員賃金の切り下げを許さず、民主的公務員制度のためにたたかうこと、いっそうの不安定労働者への置き換えをすすめる労働法制改悪に反対するたたかい、労働委員会労働者委員の公正任命をもとめ、国鉄闘争の前進を強調しています。