2002年7月26日(金)「しんぶん赤旗」
自民、公明、保守の与党三党は二十五日午後の参院厚生労働委員会で、サラリーマン本人の医療費自己負担を三割に引き上げるなど、年間一兆五千億円の国民負担増を押しつける医療改悪法案の採決を強行しました。国民の声を聞く中央公聴会開催にも応じず、質疑を途中で一方的に打ち切っての暴挙です。
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採決強行を受け午後五時半から、参院議員面会所で緊急の国会要請行動が行われ、日本共産党の志位和夫委員長があいさつし、国会情勢を報告。議会制民主主義をじゅうりんした与党の暴挙を糾弾し、「怒りの声を国会に集中し、悪法を通さないために、廃案に追い込むために最後まで力をあわせよう」と訴えました。
参院の四野党国対委員長は、法案を委員会に差し戻し、本会議を開会しないよう倉田寛之議長に申し入れました。この日の委員会は与党から「採決」の提案もなく、午前から質疑が始まりました。
野党が求めていた中央公聴会開催に与党は何ら回答しないまま、午後の質疑に入りました。
民主、自民、公明、共産、国連(国会改革連絡会=自由党と無所属の会)、社民各党の順番で質疑することが理事会で決まっていたにもかかわらず、自民党が質問を終えた時点で同党の中島真人筆頭理事が、質疑を打ち切り、直ちに採決することを求める動議を提出。委員会室に詰めかけていた野党議員が抗議の声をあげ、阿部正俊委員長(自民)の採決をとる声がまったく聞こえないにもかかわらず、与党委員が挙手を四回繰り返して散会しました。
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同日夜、参院議院運営委員会理事会が断続的に開かれ、山崎正昭委員長は、倉田寛之議長が会期末などを理由に本会議開会を判断したとして、野党の反対を押し切って二十六日の本会議開会を職権で決めました。
日本共産党、民主党、自由党、社民党の四野党は二十五日夕、国会内で書記局長・幹事長会談を開き、同日の参院厚生労働委員会での医療改悪法案強行採決に抗議し、委員会への差し戻しを求め、法案採決の参院本会議開会に反対していくことで合意しました。
四野党は、与党による強行採決について、すでに厚労委理事会で与野党が合意していた質疑を途中で打ち切り、議員の質問権をはく奪し、野党の公聴会開催要求について回答するとしていた約束も果たさないという「衆院での強行以上に大変な暴挙だ」として、「絶対認めるわけにはいかない」との認識で一致しました。
また、内閣不信任案については、参院でのたたかいを進めながら、適宜適切な時期に提出する方向を確認しました。
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「法案を委員会に差し戻せ」「本会議のベルを押させるな!」。自公保三党が、参院厚生労働委員会で医療改悪法案の強行採決をした二十五日夕、参院議員面会所で行われた要請行動(国民大運動実行委員会、中央社保協、全労連・国民春闘共闘主催)では、約三百人が、廃案に向け、たたかい抜く決意を語りました。
日本共産党の国会議員団が激励、志位和夫委員長が情勢報告と連帯のあいさつをすると、面会所は「そうだ」「よっしゃ!」の声で震えます。
大会開催中に駆けつけた全労連の小林洋二議長は、「自公保が法案を無理やり通しても、国民には通らない。政治をわれわれの手に取り戻そう」と訴えました。
カバンのひもを握り締めながら聞いていた埼玉・熊谷市の新井かほるさん(65)は、「月十六万程度の夫の年金で、二人暮らし。これ以上医療費が上がったら生きていけません」と訴えます。「数をたのんで国民に痛みだけ押しつける悪法を通すなんて、切ないですよ。“福祉の党”といいながら強行採決なんて、公明党もひどいです」。東京・日の出町の須田きぬ子さん(68)は、「体が痛かったけど、今日だけはと思って来ました。弱い者いじめしかしない政権にはまかせられない。解散・総選挙しかありません」と語りました。