日本共産党

2002年7月21日(日)「しんぶん赤旗」

東京湾アクアラインにみる

ムダと癒着の構図(下)

巨額献金 自民に受注企業から71億円


 法外な東京湾アクアライン建設を政府がなぜ承認し、今日の大赤字の事態になっているのか―。その謎の一端を示したのが、アクアライン工事受注企業から自民党への巨額の政治献金です。

 アクアライン建設中の八八年から九七年の十年間、百億円以上の工事を請け負った企業から、自民党にどれぐらいの献金がわたったのか――。吉川春子参院議員の質問(五月二十一日)に、総務省の大竹邦実選挙部長はこう答えました。

軒なみ数億円規模

 「新日本製鉄からこの間に五億六千万円の寄付があります。鹿島から三億一千六百七十三万六千円、大林組が……」

 新日鉄や大手ゼネコンが軒なみ数億円の献金をしているのです。(別表)

 吉川議員の調査によると、アクアラインで百億円以上の工事受注企業からの政治献金は、トータルで七十一億三千万円にのぼりました。このほかにも自民党議員のパーティー券の購入などがあります。

 財界がアクアライン計画を立案し、当時の中曽根内閣の「民間活力」導入の国家的事業に組み入れ、みずからがその工事を受注してもうけをあげ、その建設期間中だけで自民党に七十億円をこえる献金をしたという構図が浮かび上がります。

 今日の道路四公団「改革」は「民営化」の名ですすめられています。国民の財産である道路網が、形態はどうあれ、民間企業化することを前提としています。これは「民間」=財界にふたたびもうけ口を見つけてやるためのものです。

 「公共事業を受注した企業から政治献金をうけとるということは大変問題ではないか。こういう政治献金は規制していく検討が必要ではないですか」

 吉川議員がこう迫ったのにたいし、石原伸晃行革担当相は「事業を請け負った企業と政治献金の間にどういう因果関係があるかはっきりいえない」とのべました。

 日本共産党など野党四党は今国会に公共事業受注企業からの政治献金禁止法案を共同で提出しています。しかし、五月九日の提出から二カ月余になるのに棚上げ状態です。「企業献金を悪と決めつけるのはよくない」(自民党・町村信孝幹事長代理)などと、法案の審議入りを拒んでいます。この問題で「踏み込んだ対応が必要」などといっていた小泉首相も「献金のあり方を議論するのはけっこうだ」など人ごとのように変わっています。

懲りないムダ遣い

 「アクアラインが失敗したのに、もう一つ外側に橋を架ける(東京湾口道路)などというのは、正気とは考えられない。(毎年の予算に)調査費をつけて延々とやるなどということはやめるべきです」(吉川議員)

 性懲りもなく税金の無駄遣いを繰り返そうとする自民党政治。「自民党を変える」といって登場した小泉首相が、公共事業受注企業からの献金の禁止すらできないとしたら、公共事業改革など口にすべきことではありません。 (おわり)


アクアライン工事受注企業から自民党への献金
(1988〜1997年、主なもの)
新日本製鉄5億6000万円
鹿島建設3億1673万円
大林組3億1914万円
清水建設2億7570万円
大成建設2億9240万円
前田建設工業1億3419万円

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp